とある科学の現実物質（リアリティマター） (ページ20)

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１５話　帝督Side ページ20

確かこの研究所が壊滅したのは8年前だからほぼ資料などは残ってねぇだろうがな。
まあ面倒だがかたっぱしから探した。
部屋が多すぎて面倒だったが俺は知らない間に実験室のようなところに来た。

その部屋は真っ白で中央にポツンと鉄製の椅子があった。
鉄製の椅子には手枷や足枷もついていて、ここに座らせれて実験を受けていたことがわかる。

中央の椅子から部屋全体を見回すと壁の一角の色が違うことに気づいた。
俺はその壁まで近づき未元物質でその壁を壊すと、まさかの資料が残ってやがった。
何年も放置されていたせいで壁の色の違いがわかりやすくなったってわけか。

俺はご丁寧にファイルされた資料を手に取り広げた。

「なっ！？」

そこには柊AというLevel5の超能力者についての記録だった。
まさか、マジでここだったとは.....しかもご丁寧に顔写真付き。やっとだ、やっと尻尾をつかんだ。

俺はそう思い柊Aの実験記録について読むことにした。

「.....。」

その資料はあまりにもひどくて吐き気がしそうだ。

毎日の薬物摂取の他にも体内に電流を流す実験、毒ガス部屋での実験、
ページをめくるほど実験の質は非人道的になっていき、ついては人間を殺すという実験まであった。

やっと彼女についての手がかりが掴めたが、俺よりもひどい扱いを受けるAに研究者への憎悪がこみ上げてくる。
そして、この研究所に連れてこられた理由、それはアレイスターがAの能力に目をつけたからだ。アレイスター....今まで散々奪って来やがったくせにまさか大切なものを最初に奪われていたなんて、許せねぇ。

「垣根さん、こっちは手がかりなしです。手がかりありましたか？」

「あぁ」

「えっ！？あったんすか！」

俺はAの実験ファイルを誉望の胸に叩きつけ、その部屋を出て中央にある椅子を未元物質で粉々に潰す。Aが毎日この椅子に縛り付けられ色々な実験を受けて来たと思うと気が狂いそうだ。

俺の愛しいAが知らない間に研究者たちによって、俺よりもひどい実験を受けていた、俺は研究者だけじゃなく、それを知らなかった俺自身も憎い。

「誉望、それ持って心理定規、弓箭の二人とこの研究所から出ろ」

「了解です」

誉望は俺のいう通りに資料を持って部屋を出て行った。
そして、俺は深呼吸をしてAがいた部屋を見渡した。