9話 一方通行Side ページ14
俺とAはそのまま会話をせずAの家の前まで一緒に手を繋いで歩いた
俺にとってはもっと手を握っていてェけどそういうわけにも行かねェと思いAの手を離しAの部屋の扉を開ける
こいつは何度行っても部屋の鍵を閉めねェ
なンでかは知らねェが無用心にも程がある
「危ねェから鍵閉めろよ。明日確認しにくるからなァ」
『わかった』
どうせ、こンなこと言ってても鍵は開けたままにすンだろうなと思いながらAの頭に手を乗せてポンポンと叩く
しょォがねェから明日の朝、頑張って起きてくるかァと思いながら扉に手をかけて、部屋を出て行こうとすると『一方通行....』とAに呼び止められる
Aは何か不安そうな、今にも泣きそォな顔で俺を見てくる
「なンだ？」
『もし、私が壊れそうになったら私を......』
そう途中で言葉を止めるA
その後に続く言葉を言いたくないのだろう。俺はわざわざ聞くことはしなかった
でも、もしAが壊れそォになったら俺は......
『......やっぱり、なんでもない。おやす「俺は」
「俺はお前が壊れそォになるなら助ける」
お前は俺にとって最初の光
絶対に壊させはしない。壊れないように必ず俺が守る_____
俺はそう心に決めAを見つめる
Aは少し驚いてからニコッと笑って『ありがとう』と言った
俺は最初に会った時のAにまた会ったようで胸のあたりがドキッとする
俺は平然を装うためにフッと笑って「あたりまえだろォが」と言って扉をあけて部屋を出た
そういえば、Aの笑ったところを見たのは久しぶりかもしれねェ
まあ最近再会したばっかだが、再会したては何かよそよそしくなってて距離を感じてたが......
まあ明日もどォせ会うんだ。そのためには今日は早く寝ねェとな
俺はいつもより軽くなった体を杖で支えながら自分の部屋へ戻った
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作者名：あすな | 作成日時：2020年8月9日 1時
