50. 4日目-3 ページ50
「ありがとね、あろま。楽しかった。急に来て、迷惑かけて、ごめんね」
「おー。また来いよ。今度は連絡しろ。そしたら行くとこ考えといてやるから」
「うん。……じゃあ、ね」
空港まで送ってくれたあろまに最大のお礼とお詫びの言葉をかける。
また来い、と言ってくれたけどきっと私はもう来ない。
最後にいい思いをさせてもらった。
私の15年来の恋は、10年に一度の10日間を待たずして、ここで幕を閉じるんだ。
「……A」
静かに笑って、背を向けようとしたとき。
あろまが声を上げた。
「俺、明日……は無理だけど、明後日……も、駄目か。明々後日も生の予定入ってるから、」
要領を得ない、独り言のような言葉。
あろまがこんなふうになるのは珍しい。
いつも単純明快、はっきりすっきり話すのに。
「月曜が一番早いな。月曜、北海道行くわ」
突然の話に目を見開く。
今日は水曜だから、5日後だ。
「えっ……なんで？」
「別にいいだろ」
「い、いいけど……」
そもそもあろまは北海道に実家があるんだからいいも何もない。
私が東京に行ってあろまの家に押しかけるのとは話が違う。
「お前と話してたら久々に帰りたくなったんだよ」
「だからってそんな急に……」
「先々じゃあいつらが急に何言い出すかわかったもんじゃねーからな。空いてるうちに行っといたほうがいいんだよ」
「そういうもん……？」
あいつら、というのは間違いなくあの賑やかな三人のことを指している。
結局三人は帰ることなくレースゲー厶を始めだして、私達があろまの家を出る頃になってもずっとやり続けていた。
「じゃ、そういうことで。だからお前、それまで俺らの動画でも見て待ってろ。生放送とかもやるから」
「わ、わかった！見る！」
「ん。じゃーな」
そういうと、あろまはさっさと背を向けて帰っていってしまった。
残された私もあろまに背を向けて、手荷物検査のほうへと足を進める。
また、5日後に。
あろまと会えるんだ。
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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…！！続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せとか | 作成日時：2020年7月8日 18時
