忘却 里にて2

番外編:襲撃　弐 ページ41

その間にも柱の死、上弦の鬼の撃破など烏を通し報告が上がってくる
最初に柱の死の報告があったことにより自分の友達...甘露寺の死が報告されないか気が気ではなかった
共に進んでいた隊士も鬼によって喰われたり、鬼血術によって逸れたりして最終的には私よりもいくつか年下に見える気の強そうな女の子と2人だけになってしまった
ずっと怒りが漏れ出した表情で私よりも先を走っている
まるで鬼殺隊に入隊したての頃の自分を見ているようで不安になった

「…怒る気持ちは痛いほどわかるよ、だけど、生き急ぎすぎないようにしなよ」

「…ほっといてください、それより早く鬼舞辻の元へ行かないと」

(あ、これ私が何言っても無駄なやつだな)

そう思った時だった
何やら開けた場所に出ようとしていた

(…なんだか怪しい、少し様子を見て可能なら避けた方がいい気が…)

「ねえ、ちょっとあそこに出るのはやめた方がいい気が…」

「急がないと！みんな頑張ってるんですから足を止めてる暇なんかありません！」

そう言って開けた空間に入ってしまった

四面全てが襖だった

部屋の中腹に来た時

ﾊﾞｯ

「‼ッ」

一斉に襖が開いた

夥しい数の鬼が詰まっていた

とても2人で捌き切れる量ではない

それでも一斉に鬼は襲いかかってくる

右から左から前から
そして上からも

女の子が一瞬膠着したのが見えた

左から鬼の爪が迫っていた

咄嗟に女の子の前に行き庇う体制をとる

ふと自分の左薬指につけられた指輪が目に入る

(あ、待てよ？左には指輪がある、指輪になんかあったら鋼鐵塚さんに怒られちゃう)

そう思い体を右側に捻る

刀で防ごうにもその一瞬の迷いで気づけば腕が宙を舞い右目が見えなくなっていた

(あ、やっちゃった)

そう思ったのも束の間また足元の襖が開きどんどん下へ下へと今度は大量の鬼を連れ落ちていた

(このままじゃ下に叩きつけられて死んでしまう、私も、あの子も)

自分と一緒に切り落とされた右腕も落下しているのが見えた

手にはまだ赤い刀を握っていた

残った左腕で必死に手を伸ばし、刀を掴んだ

「…炎の呼吸、弐の型 昇り炎天」

一緒に落ちていた鬼を一掃する

続けて落ち続け顔を涙でぐしょぐしょに濡らす女の子を足で捕まえ

「…炎の呼吸、玖ノ型 煉獄‼」

落ちる地面に技を叩きつけ衝撃を緩和する

それがとどめになったのか刀の刃が割れて破片が散乱する

(あーあ、こりゃ鋼鐵塚さんに怒られちゃうなぁ…)

それを最後に気を飛ばしてしまった

番外編:襲撃　惨→←番外編:襲撃　壱

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す