桜の花は、淡い恋色。２【鬼滅の刃】 (ページ46)

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また巡り会ふページ46

キーンコーンカーンコーン・・・。

下校のチャイムが鳴り響き、教科書を入れ始める。

窓の外から、桜の花びらが教室に入ってきた。

「桜だ・・・。

　中学校生活も、あと１年で終わりかあ」

寂しくなる思いも抱えながら、Aは席を立った。

「A！」

そんな時、宍色髪の少年がやって来た。

錆兎。初めて出会ったのは中１の時だった。

それから３年間、同じクラス。

責任感の強く優しい彼には

一目惚れだった。

顔もイケメンだし。

・・・それまで会ったことはなかったのに

なぜか彼のことを知っている気がした。

「どしたの？」

「いや、その・・・」

なんだろう。いつもの男らしい錆兎じゃない。

「俺さ、Aに会ったことがある気がするんだ」

「え・・・？」

「前世から知っているような、そんな気がして…

　って、何言ってんだよ。俺」

Aは胸の前で手を握り締めた。

「実はね、私もなの・・・。

　私も、あなたのことを知っている気がする」

外が騒がしいのと対称に、静まる教室。

「A・・・」

錆兎は大きく息を吸った。

「俺と付き合ってくれないか？」

「錆兎・・・」

「ずっと好きだったんだ。華やかで優しいお前が」

髪が風でなびく様子に、心を奪われそうになる。

「惚れた女の一人ぐらい、俺が守ってみせる」

なんだろう・・・。

頭の中に、微かな情景が描かれる。

夕日の下、少年と少女が微笑んでいて・・・。

頬を紅く染めながらも、Aは頷いた。

「よ、よろしくお願いします！」

「ほんとか・・・？ありがとう！」

手を取り合う二人の周りには

祝福するように桜が舞っていた。

あの時と同じように、夕焼けの中で。

ーーあの日。私は恋をした。

いつもカッコよくて、優しいあなたに。

私のことをずっと守ってくれたあなたに。

何度生まれ変わっても、どんな人生を歩んでも

きっとあなたに恋をする。

ーー桜のような、淡い色の恋を。