桜の花は、淡い恋色。２【鬼滅の刃】 (ページ33)

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哀しみの連鎖　　　其ノ漆拾ページ33

「参ノ型、咲き誇る桜花！」

廊下の端に並んでいた鬼たちを、一瞬で斬り倒す。

桜の花びらが残る中、Aはさらに奥へと進んだ。

一太刀、また一太刀・・・。

「時透無一朗死亡ー！！」

次から次へと襲ってくる悲しみ。

もう誰も失いたくなかったのに・・・。

(無一郎くん・・・)

初めて会った時は、物静かな子だなと思った。

親を失くしてから、常に一緒だった兄を殺され、

大怪我を負った彼は、穏やかな性格が変わってしまったらしい。

彼に会ったのは、ほんのわずかだったけど

歳の離れた弟みたいに懐いてくれたなあ。

「乱れる零桜！」

前から襲ってきた鬼を、左右に叩き斬る。

「不死川玄弥、上弦の壱との戦いにより死亡！」

そんな・・・。玄弥くんまで・・・。

しょうがなかったんだよ。

不死川さんは、玄弥くんのことを想って避けてた。

だって、子どもの頃を話す不死川さん、とても楽しそうだったから・・・。

不幸は上の自分が背負いたくなる。

私だって、心夏には自分の道を歩いていてほしい。

不死川さんだって、炭治郎くんだって、カナエちゃんだって・・・。

いつだって妹弟のことを第一に考えているんだ。

「舞い散る徒桜！！」

目の前に現れた大きな鬼にも怯まず、Aは刀を振り下ろした。

「はあ、はあ・・・」

何もいなくなった瞬間、涙が溢れ落ちた。

「どうして・・・」

どうして悲しい運命に傾いてしまうのだろう。

どうして大切な人ほど失ってしまうのだろう。

もっと自分が強ければ・・・。

顔を覆って泣くAの肩に、手が置かれた。

「誰・・・？」

「失ったものは戻らない。

　泣いてもどうにもならないってことぐらい、お前が一番分かっているだろう」

その少年は、猫のような大きな目で・・・。

「頼みたいことがある」