元音柱 其ノ肆拾弐 ページ4
「しのぶちゃん！」
振り返ると、しのぶが立っていた。
「今日は非番？」
「はい。お散歩日和ですし、ちょっと出掛けてみようかと」
それより、としのぶはAを見つめた。
「あ、怪我はしてないよ。・・・あの人が困っていたもんだから、つい」
「・・・Aさん、変わりましたね」
「え、どこが・・・？」
「自分に自信を持てるようになったこと」
しのぶに言われ、最近のことを振り返ってみる。
・・・確かに、自分を見下さなくなった気がする。
さっきだって、何も考えずに飛び出してた。
「そういえば先程、宇髄さんに会いましたよ」
「宇髄さんに？」
しのぶはうなずいた。
「良かったら、寄ってみてください」
というわけで。私は今、宇髄さんの屋敷の前にいる。
なつは気を効かせて、先に帰った。
「ごめんください」
そう、一声かけると、
「あ、Aちゃんだ！」
「久しぶり！」
「元気にしてた？」
天元の嫁、須磨、まきを、雛鶴が出てきた。
「皆さん無事で、良かったです！」
まきをさんに抱きしめられていると、
「騒がしいと思ったら、お前か！」
「宇髄さん！」
宇髄さんは遊郭の戦いで、鬼殺隊を引退した。
結局、上弦の陸は二体になって、激しい戦いだったらしい。
宇髄さん自身も、左目と左腕を失っていた。
「入れよ。お前と話せるのは珍しいからな」
部屋に入ると、雛鶴さんがお茶を持って来てくれた。
「ありがとうございます」
「ゆっくりしていってね」
と、雛鶴は部屋を後にした。
「いいですね。奥さん三人に囲まれて」
「ああ。今は鬼殺隊も辞めたから、のんびり暮らしてるぜ」
Aは庭に目をやった。
喧嘩をしながらも、仲睦まじく遊んでいる。
・・・「ほら、早く来いよ！」
「待ってよ錆兎！」
「置いていくなよ！」
つい、昔のことを思い出してしまう。
「宇髄さん、」
「ん？」
「私の話、聴いてくれますか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レベ - 錆兎のお話見るたびに泣いてしまう…（感動の涙です。） (2022年11月16日 15時) (
レス) @page5 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：組紐屋の夜桜 | 作成日時：2022年4月11日 22時
