桜の花は、淡い恋色。２【鬼滅の刃】 (ページ24)

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強い覚悟　　　　　其ノ陸拾壱ページ24

毒を身体に・・・？

しのぶの言葉に、理解が追いつかなった。

「どうして・・・？」

「私には、やらなければならないことがあるのです」

しのぶは透き通った青空を見上げた。

「話せば長くなるのですが・・・」

ーー私は幼い頃、鬼に親を殺されました。

姉と二人。このまま飢え死ぬのかなって。

ですが、あの時助けてくれた悲鳴嶼さんが、

私たちを鬼殺隊に導いてくれました。

鬼に人生を奪われるような人がいなくなってほしい。

私も姉さんも、そんな想いでいっぱいでした。

ある日、柱になった姉さんは鬼に殺された。

上弦の弐だったそうです。

・・・仇を討ちたかった。

でも、私の力じゃ、上弦には敵わない。

「・・・倒すためには、この方法しかなかったの」

身体に毒を取り入れ、

私ごと喰ってもらう。

これなら確実に・・・。

「後はカナヲに任せたわ。

　・・・カナヲなら、必ずやり遂げてくれるから

　私の妹だもの」

「しのぶちゃん・・・」

・・・私よりも年下なのに。

自分との約束を果たすためなら、手段を選ばない。

しのぶちゃんらしい、強い覚悟だ。

「覚悟ならできています。

　Aさんと会うのも、今日が最後かもしれないって」

しのぶは大きな瞳で、Aを見据えた。

「Aさん、あなたには勇気をもらいました」

「そんな、私は何も・・・」

「初めて会った頃は塞ぎ込みがちだったのに。

　自分を信じて、仲間を信じて突き進む姿は、

　いつも輝いていましたよ」

と、しのぶはAの手を握った。

「あなたのその強く美しい心で、前に進んで行ってください」

「私も・・・。

　しのぶちゃんが心の支えになってた」

「いえ、私だって、」

止まらない感謝に、二人は微笑んだ。

本当にこれが最後になるなんて・・・。

この時は思いもしなかった。