記憶 其ノ伍拾玖 ページ21
ーー私は元々、鬼とは無縁な生活だった。
お母さんとお父さん、妹と普通な暮らしをしていたわ。
「・・・お前はもう、家の子じゃない！」
でも九歳の時、私は雪の中で捨てられた。
私の人生終わるのかなって、絶望したの。
そんな時出会ったのが、鱗滝さん。
そして、錆兎と義勇だった。
「Aさんの育ての親は、鱗滝さんだったんですね。
でも、どうして桜の呼吸を・・・」
「私の亡き祖母が元々鬼殺隊で、かっこいいと思って。
少しだけ呼吸法を教えてもらっていたの」
Aは優しく答えた。
ーーそれから、私は鱗滝さんの元で育てられることになった。
なかなか心を開かなかった私を、家族のように思ってくれたの。
この頃かな。私は錆兎に恋をしていた。
優しくて、私をいつも守ってくれる彼に、一目惚れだった。
「そりゃあ好きになりますよ。あんなにかっこいい人は。
・・・ちょっとやり過ぎですけどね」
「確かに。錆兎の鍛錬は鬼だよね」
昔を思い出し、Aは笑った。
ーー私たちが最終選別を受けたのは、錆兎と義勇が十三、私が十二の時だった。
「・・・A。無事生き残れたら、俺と恋仲になってくれないか？」
「もちろん、約束だよ？」
あの日、私と錆兎は恋仲になる約束をしたわ。
この人となら、どんなに辛いことも乗り越えていける。そう思ったの。
でも・・・
「・・・錆兎！！戻って来て！」
錆兎は私を、みんなを守るために殺された。
あの選別では、たった一人。
それからというもの、私は怖くて戦えなくなった。
刀を抜こうとするたびに、あの時が目に浮かぶ。
「そして、鬼殺隊を裏から支える形で生きてきたの」
前を向いたまま、Aは涙を流していた。
「すみません。こんなことも知らずに・・・」
「いいのよ。炭治郎くんのおかげで、なんだか霧が晴れたみたい」
さ、鍛錬に行かないと！とAは立ち上がった。
「ありがとう、」
「えっ？」
背を向けていたAは振り向いた。
「手鬼を倒してくれて。
錆兎も、選別で散ってしまった人たちも、きっと喜んでいるわ」
Aの桜のような笑顔に、炭治郎は微笑んだ。
「いえ。俺も錆兎のおかげで強くなれたので」
錆兎という共通点に、二人は微笑み合った。
(錆兎・・・ありがとう。
託された想い、私たちがしっかり繋いでいくから)
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レベ - 錆兎のお話見るたびに泣いてしまう…（感動の涙です。） (2022年11月16日 15時) (
レス) @page5 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：組紐屋の夜桜 | 作成日時：2022年4月11日 22時
