君へ 其ノ伍拾捌 ページ20
「んー。眩しい、」
朝の光から逃げるように、Aは寝返りを打った。
バサバサッ
その時、外から羽音がした。
「なんだろう・・・」
障子を開けると、一羽の鴉。
「あれは義勇の・・・」
よろよろしている鴉を呼ぶと、紙を落とした。
「なんだろう・・・」
ーーAへ
炭治郎と上手く話はつけた。
これも、Aのおかげだ。ありがとう。
これからは、鬼殺隊の水柱として頑張ろうと思う。
だからAも、今を精一杯生きてくれ。
共に鬼のない世にしていこう。
義勇
「義勇・・・」
文を読み終えたAは、自然と笑顔になっいた。
鱗滝さんにも伝えたい。
義勇がちゃんと、自信を取り戻したって。
文を机に置きに行くと、横に置いてある鯉夏からの文が目に入った。
「・・・今度は、Aちゃんが成功する番。
自分の過去なんて後悔しなくていい。
今から行く道を、しっかりと歩んでね」
鯉夏の言葉を思い出し、Aは立ち上がった。
「久しぶりに、行ってみようかな」
外に出たAは、山の中を歩いていた。
この先にある小川は、Aにとって心が洗われる場所だ。
「今日も綺麗だな、この川も」
いつもの石に座ると、今までの出来事が浮かんで消えた。
「運命の分かれ道から十年。時が経つのは早いな。
あれ・・・？」
遠くに人影が見えた。
「あれ、Aさん？」
声の主は炭治郎だった。
「どうしてこんな所に・・・」
「今、悲鳴嶼さんに稽古をつけてもらっているんです」
「悲鳴嶼さんに？柱稽古ね。大変でしょ？」
「はい。でも、これで強くなれるのなら、
俺はどこまでも頑張りたいです」
笑顔を見せた炭治郎に、Aも微笑んだ。
(炭治郎くんの心、なんて前向きなんだろう)
いい子にも程があるよ。
「そういえば、」
と、炭治郎は向き直った。
「義勇さんから聞きました。
・・・Aさんのことも、錆兎のことも」
ーーー。
二人の間に、水の音だけが流れた。
「そっか・・・。
じゃあ、今度は私の番だね」
と、Aは小川を見つめて話し始めた。
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レベ - 錆兎のお話見るたびに泣いてしまう…（感動の涙です。） (2022年11月16日 15時) (
レス) @page5 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：組紐屋の夜桜 | 作成日時：2022年4月11日 22時
