桜の花は、淡い恋色。２【鬼滅の刃】 (ページ19)

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「繋ぐ」　　　　　其ノ伍拾漆ページ19

ーーパンッ！

次の瞬間、義勇は尻もちをついた。

「さ、錆兎・・・」

錆兎が義勇の左頬を叩いたのだ。

「自分が死ねば良かったなんて、二度と言うなよ

　もし言ったらお前とはそれまでだ。

　友達をやめる」

義勇は涙で濡れた顔で錆兎を見上げた。

「お前は絶対死ぬんじゃない。

　姉が命をかけて繋いでくれた命を、

　託された未来を」

　ーーお前も繋ぐんだ義勇ーー

ーー頬を張り飛ばされた衝撃と痛みが蘇る。

何故忘れていた？錆兎とのあのやりとり。

大事なことだろう。

・・・思い出したくなかった。

涙が止まらなくなるから。

思い出すと悲しすぎて何もできなくなるから。

でも・・・。

「・・・いつまで言っているの！

　柱になったのも、義勇が錆兎の分まで努力したからでしょ！

　錆兎の思いを引き継ぐために！」

同時に、右頬も抑えた。

あの日、Aのおかげで目が覚めた。

あいつは間近で錆兎の死を見てしまったのに、

毎日、毎日努力し続けていた。

久しぶりに会った時には、手に豆ができていた。

そして、ずっと俺のことを気にかけてくれていた。

AはAなりに、錆兎の思いを繋いでいたんだ。

・・・俺はどうするべきだ？

義勇は振り向いた。

「炭治郎。遅れてしまったが、俺も稽古に、」

「義勇さん。ざるそば早食い勝負しませんか？」

・・・え？なんで？

炭治郎に連れられ、近くのそば屋に入った。

「刀では義勇さんに勝てないかもしれないけど、

　早食いでは勝ってみせます！」

「・・・ああ、」

理由はよく分からないまま、義勇は炭治郎とそばをすすり始めた。

(まあ、炭治郎が満足そうなら)

いっか、と義勇もまたそばを口に含んだ。