桜の花は、淡い恋色。２【鬼滅の刃】 (ページ18)

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同じ気持ち　　　　其ノ伍拾陸ページ18

(ああ・・・)

炭治郎は前を向いた。

きっと、義勇さんは自分が死ねば良かったと思っているんだなあ。

そうすれば、Aさんだって傷を負う事はなかった。そう思っている。

痛いほどわかる。

自分よりも生きていて欲しかった大事な人が、

自分よりも早く死んでしまったり、自分を守って死んだりしたら、

抉られるようにつらい。

ーー錆兎。

狭霧山で、俺に稽古をつけてくれた少年。

不思議な体験だったなあ。

俺は錆兎がいなければ、強くなれなかった。

凄いなあ。選別の時、みんなを助けたんだ。

Aさんと結ばれるはずだったのに、

叶わないまま終わってしまうなんて・・・。

胸が張り裂けるような悲しい話だ。

相変わらず、義勇は前を向いたままだった。

俺だって同じこと思った。

煉獄さん・・・。

凄い人だった。誰よりも優しくて強かった。

煉獄さんの代わりに、俺が死んだら良かったんじゃないかと思った。

でも・・・。

炭治郎は遠い義勇の背中を見つめた。

義勇さんは柱になるまで、努力をたくさんしてきたんだと思う。

どれだけ自分を叱咤して、

どれだけ苦しい思いをしてきたことか・・・。

少しでも強く、錆兎を超えられるように。

Aさんだって、相当鍛錬していないと、あそこまで強くなれない。

たとえ鬼狩りができなくなっても、

それでも錆兎の分まで頑張ってきたんだ。

「義勇さんは、錆兎から託されたものを

　繋いでいかないんですか？」

その瞬間、義勇は目を見開いて固まった。