学園王子の裏の顔 ars-N.K ５ (ページ7)

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優しい声、優しい瞳ページ7

向かい合わせのソファに座って、

ただただ沈黙が続く。

この沈黙が何だか怖くて、

俯いて二宮さんの顔を見ないようにしていると。

耳を通り抜けた、

ふぅ…という溜め息。

何を言われるのか分からないから、

私の心臓の鼓動は加速していくばかり。

ぎゅっ…と足の上に置いている手に、

力を込めた時。

和「‥A。」

優しい声で名前を呼ばれた。

相変わらずな優しい声に、

私の心はﾄｸﾝ…って弾む。

諦めるって思ってたのに、

そんな私の決心は、

彼のこの声だけで崩れるくらいに脆くて。

さっきも出した涙は、

いとも簡単に溢れ出してきて、

私の頬をまたぬらした。

A「っ…。」

和「A…？」

返事をしたいのに、

次から次へと流れていく涙が、

邪魔をする。

ﾎﾟﾛﾎﾟﾛと零れていく涙を、

ｺﾞｼｺﾞｼと拭っていたら。

二宮さんが座っている方から、

ソファを立ち上がる音がしたと思ったら。

私が座っていたソファの隣が沈んで。

和「顔、上げて？」

A「…ｯ」

小さい子に言い聞かせるみたいに、

そう言う二宮さん。

‥でも今は、

見せれるような顔じゃないし。

嫌だと首を横に振ったら。

A「や…っ」

俯いていた顔を、

二宮さんの手が包んで。

和「ｸﾞｼｬｸﾞｼｬ…(笑)」

二宮さんの茶色がかった優しい瞳と、

視線が交わった。

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