第五十五話【悪戯好き】 ページ9
『いーなー！太宰君はお酒が呑めて！』
｢Aも呑むかい？｣
『呑む！』
｢ニャアッ！｣
『痛っ！』
BARルパンに到着してカウンター席に座る｡
そして折角､お酒が飲めると思ったのに猫パンチを喰らった｡
｢監視がついてるから無理そうだねえ｣
『此処まで来たのに呑めないなんて〜』
｢……君､お酒呑んだらどうなるの？｣
『一年前に一度呑んだことあるんだけどね？あまり覚えてないの｡
噂によると森林を更地にしたみたい』
｢だからだよ､止めよう｡絶対に呑んでは駄目だよ｣
『ちぇっ』
猫の監視がなければ！
隣の椅子で呑気に欠伸をしている三毛猫をジトっと睨む｡
｢私はだいぶ酔いが回ってきたけど？｣
『君､全然酔わないじゃん』
ニコッと笑い誤魔化す彼｡
うーん､その造り笑顔は苦手だなぁ｡
｢なんで不服そうな顔をしてるんだい｣
『なんでもなぁい』
｢なんでも無くはないだろう？Aちゃぁん｣
『抱き着かないで､酔っ払いさん｡乱歩君から怒られる』
｢なんでその人の名前が出るの｣
『乱歩君は君のこと苦手らしいから私が仲良くしてると機嫌悪くなるの』
｢……へぇ｣
悪巧みをするかのような顔をしてニヤリと笑った太宰君に私の顔は引きつる｡
『太宰君も悪戯好きだよね』
｢そうだねえ､蛞蝓にちょっかいをかけるのは好きだね｣
『うわぁ､塩とか撒いちゃ駄目だよ』
｢おっ､好い考えだね！次は頭から塩を大量にぶっ掛けてみよう！｣
『待って蛞蝓が可哀想だよ！？』
そこでふと考え直す｡
蛞蝓ってもしかしてあの……
『……もしやあのチビ？』
｢ぷっ､そうだよっ……あははっ！チビって！Aがチビって云うとなんか違和感が……｣
『えっ､何？私もチビだって云いたいの？』
｢否､そんなこと云ってないよ｡その拳を下ろそうか｡怖いよ｣
ほんわか(？)した会話が続く｡
ここまでゆっくり喋ったのは久しぶりだ｡
『太宰君』
｢んー？｣
『別の世界では私と太宰君は仲間で､一緒にこの街を護った｡
……なんて云ったら信じる？』
｢私は信じるよ｡別の世界では私とAは恋仲で巫山戯ながら楽しく過ごすんだ｣
あったかもしれない世界の話をするが凡てが想像で現実には有り得ない｡
『この世界は……理不尽だよね』
私の呟きに太宰君は静かに頷いた｡
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らしろ(プロフ) - よ だ かさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにして下さりありがとうございます！これからも頑張ります。 (2020年5月31日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
よ だ か(プロフ) - 続編おめでとうございます!! これからも更新を楽しみに待ってます！ (2020年5月31日 13時) (レス) id: c6fcdfc168 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らしろ | 作成日時：2020年5月31日 11時
