第五十三話【辛いんだ】 ページ7
｢政府というのは異能特務課か｣
『……そう｡まぁでも特務課だけではないと思う』
｢軍警もかい？｣
『……何で知ってるの？』
風の噂だよ､とか云う太宰君に首を傾げる｡
私が軍警に居たのは一ヶ月くらいだ｡
政府でも上層部の方しか知らないのに｡
ましてや福沢さんでさえも知らなかった｡
『……太宰君って偶にとんでもない情報持ってる時あるよね』
｢うーん？そうかな｣
『だってその様子じゃあ私の体のことも知ってるでしょ』
｢……まぁね｣
半分冗談で聞いたが彼は正直に答えてくれた｡
でも何で太宰君が？
どこで情報が漏れている？
『……坂口さん？』
｢……安吾？｣
『坂口さんから聞いたの？』
｢どうしてそう思う？｣
そんな事聞かれても判らない｡
ただの勘だ｡
織田作から聞いたけど仲が良かったらしいから｡
『……勘､だよ』
｢……残念､違うよ｡そんな事をしたら安吾の頸は飛ぶ｣
慥かにその通りだが｡
でも他に思い付かない｡
｢……不安にさせたなら済まない｡君の情報を知っているからと云って悪用などしない｡
勿論､森さんにも誰にも云っていないよ｣
『えっ？何で？』
素朴な疑問だった｡
森医師には云っていると思ったから｡
だから彼は私が欲しいと云っているのかと……
｢当たり前だろう｣
太宰君と目が合う｡
また心臓が飛び上がる｡
｢好きな子が抱えている嫌な過去を他人に容易く喋るなんて最低じゃないか｣
『……やっぱり､太宰君って優しい』
｢……これからも誰にも云わないと約束するよ｣
私は少し俯いて話す｡
『……太宰君の告白､正直云うとね？嬉しかった』
｢うん｣
『一番､ドキドキした』
｢ふふ､良かった｡君はとてもモテて告白には慣れてるからね｡逆にシンプルに云ってみた｣
ニンマリと笑いながらこちらを覗き込む太宰君に一つ咳払いをして距離をとる｡
『……私もね､太宰君が好きなの』
｢……うん｣
『けどね』
｢A｣
太宰君は優しく抱き締めてくれた｡
でもその手は少し震えているように見えた｡
｢……それ以上は云わないでくれ｣
『でも……』
｢……判ってる｡判っているからこれ以上君の口からそれを云われると辛いんだ｣
でも……
私と君では……
『……ロミオとジュリエットみたいだね』
昔､本で読んだ内容にそっくりだと思い出した｡
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らしろ(プロフ) - よ だ かさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにして下さりありがとうございます！これからも頑張ります。 (2020年5月31日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
よ だ か(プロフ) - 続編おめでとうございます!! これからも更新を楽しみに待ってます！ (2020年5月31日 13時) (レス) id: c6fcdfc168 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らしろ | 作成日時：2020年5月31日 11時
