第五十話【返して下さい】 ページ4
尾崎さんから頭を撫でてもらって嬉しくなる｡
『晶ちゃんとはまた違う姐さん雰囲気漂う素敵な香りに色気……
私のお姉さんになりませんか！？』
｢判った判った｡話は鴎外殿の部屋でじっくり聞くとするかのう｣
『え､彼の人まだいるの？面倒……嫌だァ……はぁ』
｢先刻の勢いは如何した？まぁ善い｡鏡花､お主はもう休め｣
鏡花ちゃんは一瞬だけ私に視線を送って静かに去って行った｡
もっとお話したかったなぁと呑気に考えていると殺気が
直ぐ後ろから揺らめいだ｡
｢……私の予想だとまた何か目的があって此処へ来たんじゃろう｣
『おっ？勘が鋭いね』
金色夜叉の持つ刃が私の頸元に当たる｡
異能を発動させようと口を開いた瞬間､第三者の足音が聞こえ口を閉じた｡
｢姐さん｣
｢……！｣
｢それと､A｡久し振りという程でもないけど
……こんな処で何をやっているんだい？｣
聞き慣れた軽快な足音はやっぱり太宰君だった｡
そして太宰君が現れた瞬間､金色夜叉が消えた｡
｢……太宰､お主は帰ったんじゃなかったのかえ？｣
｢一度帰ったけど忘れ物をしてね｡それを取りに戻ったんです｣
｢……そうかえ？しかし忘れ物は諦めて帰った方が善い｡
それに明日も仕事が早かろう｣
｢いえいえ､明日は仕事はないんです｡
姐さん､私の忘れ物は諦めたくないので……返して下さい｣
バチバチと火花が見える両者｡
私の事について話しているのかと判ったのは尾崎さんが私の腕を引いた時だ｡
｢この娘はお主に預けるのには危険じゃ｣
｢ご忠告ありがとうございます｡
しかしその子は
『まっ待って､忘れ物が何かはやっと判った｡
私の事だよね？大丈夫､判ったから二人共落ち着こう？』
金色夜叉よりも膨大な殺気が漂うエントランスで私は冷や汗ダラダラだ｡
内心､本当にどうでもいい｡
なんなら太宰君の人一人殺しそうな笑みをスルーしてもいい程に｡
『怖いよぉ､怖いよぉ……マフィアの幹部は怖すぎるよぅ』
｢A､ほらおいで？逢引の約束覚えているよね？｣
『あっ……逢引……』
｢完璧に忘れてたよね君｣
笑って誤魔化すが太宰君の目は本気で怖い｡
もう私､怖いしか云ってない気がする……
『覚えてるって｡明日､なら空いてるけど……』
｢勿論だとも！では明日､たくさん遊ぼう！｣
……急に予定が決まってしまった｡
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らしろ(プロフ) - よ だ かさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにして下さりありがとうございます！これからも頑張ります。 (2020年5月31日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
よ だ か(プロフ) - 続編おめでとうございます!! これからも更新を楽しみに待ってます！ (2020年5月31日 13時) (レス) id: c6fcdfc168 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らしろ | 作成日時：2020年5月31日 11時
