第四十九話【赤い着物の少女】 ページ3
国木田君からの強制的な掃除が終わり｡
退社して久し振りに外食をした帰りだ｡
『ねえねえ､貴女の名前は？』
｢……鏡花｣
赤い着物の少女が静かに壁に背を向けて立っていた｡
思わず声を掛ける｡
『一人？こんなところに居たら変なのに絡まれるよ？』
｢……今､絡まれてる｣
『ありゃま』
笑うと鏡花ちゃんはチラリと私を見る｡
｢……あの｣
『そーだ！今暇？隠れんぼしない？』
｢……？｣
表情一つ変えなかった鏡花ちゃんが少しだけ眉を顰めた｡
私はニコリと笑って頭を撫でる｡
｢鏡花ちゃんが鬼ね｡私を見つけたら君の勝ちだから！十を数えてね！｣
私は急いでその場を離れる｡
最初は近くに隠れようキョロキョロと辺りを見た時だ｡
｢お嬢ちゃん､ねぇ誰か待ってんの？｣
チャラそうな男共が鏡花ちゃんに話し掛けていた｡
｢こいつ昨日から同じ姿勢だぜ｡死んでんじゃね？｣
｢あ､今瞬きした｣
｢話しかけても何一つ反応しないし……このまま連れ帰っても｣
『警察さん！麗しき少女を誘拐しようとしてる男達がいます！現行犯だ！』
｢やべっ！｣
｢おい､行くぞ！｣
男達は慌ててその場を後にした｡
まあ､一応云っておくが警察なんて嘘だ｡
｢……見つけた｣
『わぁお､見つかっちゃった｡私は隠れんぼは向いてないなぁ〜』
｢……貴女がお節介なだけ｣
『……うーん､私はどうすればいい？』
｢捕まって｣
『直球だね｡いいよ､明日は仕事休みだし』
手を引いて夜の街を歩く｡
不思議そうな顔で繋いだ手をみる彼女に微笑む｡
『鏡花ちゃん､好きな物は何？』
｢……兎と豆府｡嫌いなものは犬と雷｣
『可愛いね〜､因みに私も雷が苦手だよ』
ゆっくりとポートマフィアへ歩いていく｡
数年前と変わらずそびえ立っていた｡
『夜でも見張りがいる』
｢……首領の部屋に行く｣
『面倒……てか帰ってるんじゃないの？』
また変態に逢うのかと落胆しながらエントランスへと足を踏み入れる｡
すると着物の女性が此方へと歩いてきた｡
｢ご苦労じゃったのう､鏡花｣
軽く頭を下げた鏡花は着物の女性｡
────尾崎紅葉に頭を撫でられる｡
全く数年前と変わらず綺麗な人だこと｡
『私も大人しくついてきたんです！褒めてください！』
｢……ったく､お主の将来が心配になる｣
と云いつつ撫でてくれる尾崎さんは優しい人だと思った｡
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らしろ(プロフ) - よ だ かさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにして下さりありがとうございます！これからも頑張ります。 (2020年5月31日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
よ だ か(プロフ) - 続編おめでとうございます!! これからも更新を楽しみに待ってます！ (2020年5月31日 13時) (レス) id: c6fcdfc168 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らしろ | 作成日時：2020年5月31日 11時
