第五十九話【逢引】 ページ13
『わーい！いい天気』
太宰君と外に出て街を歩く｡
太陽が雲から顔を出して街を照らす｡
心地の良い風が吹く｡
『太宰君！電車で遠出なんかどう？』
｢うーん､電車じゃなくて車ならいいよ｣
『あ､電車は苦手？』
マフィアだから交通機関を遣うのは拙いのかな？
不思議に思っていると太宰君は私の顔を見て笑った｡
｢電車がいい？｣
『んーん！私は車でもいいよ！』
｢……そうだ､ゲェムセンターに行ってから電車に乗らないかい？｣
ゲェムセンターに行ってから？
電車に乗ってはいいのに､何故今乗らないんだろう｡
なにか理由があるのだろうか｡
『ゲェムセンターに行ってからじゃないと駄目なの？電車でテロでも起こす気？』
｢……君に誤魔化すのは無理があるね｣
太宰君は私の手を取り歩き出す｡
冗談で云ったのに本当のようだ｡
『太宰君』
そう呼び掛けても彼は何かを考えている目をして歩く｡
漸く彼が口を開いたのは駅に着いてからだった｡
｢先程ね､梶井さんから連絡があってね｣
『梶井さん……あっ檸檬の人か』
その人も指名手配犯だから顔と名前は知っている｡
まぁなんならマフィアの大抵の人なら名前と顔が一致する｡
｢電車で人虎を見つけた､と｣
『え！敦君も電車に乗ってたの！？私も誘って欲しかった〜』
｢あれ？私との逢引そっちのけで彼の許に行くの？｣
『冗談だよ｡それで？梶井さんが敦君を拉致しようとしたの？』
｢拉致しようとしたんじゃない｡拉致したんだよ｣
『……嘘ばっか』
そう云うと太宰君は困った笑い方をした｡
｢嘘は良くなかったね｡その通り､拉致しようとしたけど出来なかった｣
『私の部下は優秀ですから当たり前です』
鼻歌を歌いながら改札口前へ行く｡
駅員や客がたくさん居て少しパニックになっていた｡
『……列車がテロに巻き込まれて全ての列車に遅延が発生中』
｢遠出はまた今度だね｣
『しょうがないゲェムセンター行くか』
私達は駅を出てゲェムセンターへ向かう｡
『そう云えば今回の敦君の件は全て芥川君に任せてるんだね』
｢まあね､彼も遊撃隊隊長だからね｡そのくらいの仕事はしなきゃ｣
『……という事は､ふむふむ』
太宰君が関わっていないのは良かった｡
彼が居たら確実に刳いやり方で敦君を拉致してるだろう｡
『……ありがと､太宰君』
太宰君は不思議そうに首を傾げたのだった｡
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らしろ(プロフ) - よ だ かさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにして下さりありがとうございます！これからも頑張ります。 (2020年5月31日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
よ だ か(プロフ) - 続編おめでとうございます!! これからも更新を楽しみに待ってます！ (2020年5月31日 13時) (レス) id: c6fcdfc168 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らしろ | 作成日時：2020年5月31日 11時
