第百十八話『渡シテ欲シカッタ』 ページ7
鏡「大丈夫?」
敦「……えっ、あっうん!大丈夫だよ」
携帯を見つめていたら鏡花に顔を覗きこまれた敦
鏡花は心配そうに彼を見る
鏡「……すごく苦しそうな顔してた」
敦「……っ、うん。すごく苦しい」
必ずウイルス異能者を捕まえて社長を救えると思っていた。そして彼奴にも……
敦「……電話の方が良かったのかな」
乱「否、今はメールも電話もしない方がいい」
敦「えっ?」
呟いた声に乱歩が反応し、敦は焦って携帯を隠す
実は皆に……乱歩にも内緒で芥川とメールのやり取りをしていたのだ。不穏な空気のトラックの中、周りの視線が突き刺さる
敦「えっとそうですよね!?な、何があるか判らないから携帯を遣うのをひっ、控えた方がいいで、ですよね!?」
与「何でそんなに慌ててるンだい?」
乱「誤魔化しても無駄だ。僕が知らないわけないだろ」
そう云われ言葉を詰まらせる敦
周りは怪訝な顔で敦と乱歩を見る
国「……乱歩さん、如何いうことですか?ウイルス異能者との関係が?」
乱「……否、これはウイルス異能者とは関係ない。が、敦」
敦「は、はいっ」
乱「あまり彼女を動かすな。取り返しのつかない事になるかもしれない」
乱歩の鋭い瞳に敦の顔が強ばる
弱々しく返事をした彼はその場で蹲る
鏡「……今は、我慢」
敦「そう……だね」
心配そうに敦に駆け寄った鏡花が言葉を掛ける
鏡花は何となく敦の行動で察していた。芥川とこっそり連絡を取り合っているのだろうと。
彼女が敦に紙を握らせているのを目撃した為、予想はついていた
鏡「(……私にも渡して欲しかった)」
密かに眉を顰めた鏡花に敦は気付き、慌てる
敦「えっと……鏡花ちゃん?お、怒ってる?」
鏡「怒ってる」
敦「えっええええぇぇ……」
いつもは三人で共有していた情報があった為、のけ者にされたようで寂しい
そんな鏡花の気持ちは露知らず、敦は一生懸命謝っていた
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────ウイルス発症まであと十七時間
『……』
芥川は白い外套を撫で、目を瞑る
微かだが、上の階から銃撃の音や破壊音が聞こえる
『来た、か』
耳を澄まし、一つ咳をする
あと十七時間しかない。他にも方法はある筈。でも何も思いつかない。
乱歩からあんな事を云われたが、自分は頭脳派ではない
『首領を……護る』
決意を言葉にし、鋭い目で上を見上げた
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時