第百五十五話『疲レテイル時ハ甘イ物』 ページ44
谷｢……ナオミと何を話していた？｣
『……ふん､秘密だ』
ナ｢女同士の秘密のお話ですの｡兄様には教えてあげません｣
悪戯っ子のように笑うナオミに谷崎はこれ以上は何も云えない｡
すると国木田は溜息を吐きながら芥川を見る｡
国｢……よくもまぁ､マフィアであるお前がのうのうとしているもんだ｣
『……留置所に居たお前にだけは云われたくないぞ､国木田｡貴様こそ､のうのうと商店街を歩いていていいのか？』
国｢……誰から俺の事を｣
『……乱歩さんから全て聞いたが？』
乱歩さん……と頭を抱えながら呟く国木田に苺パンを差し出す｡疲れているときは甘いものに限る｡
ナ｢……兄様､私甘い物が食べたいですわ！｣
谷｢……えっ？あっ､甘い……物？｣
こちらはこちらで､ナオミは兄に甘えていた｡
谷崎は彼女に対して少しぎこちない気がするが……
『……そこの角のケェキ屋は少し高いがフルーツタルトが絶品だ』
ナ｢……本当ですの！？行きましょう？兄様！｣
嬉しそうに目を輝かせながら兄の腕を引っ張るナオミに谷崎は困惑しながら口を開く｡
谷｢……えっあの……怒ってないの？ナオミ……｣
するとナオミは兄の方を見て妖しく笑う｡
その顔に谷崎は一瞬ヒヤッとするものの､ナオミに引っ張られる顔はとても幸せそうだった｡
『……いいのか』
国｢……何がだ｣
『谷崎が連れて行かれたが……｡目的があって商店街を歩いていたのではないのか』
国｢……依頼でな｣
『……その内容はこの街が危機に脅かされるものか？』
その言葉に国木田はハッと息を呑む｡
芥川の目が､ナオミといた時以上に目が黒く濁り､何も感じられない｡
国｢……それを知ってどうする？｣
『……害するモノであれば僕が排除する』
国｢……違う｡と云えば嘘になるが､ただの窃盗犯だ｡そんなに大事になるものでもない｣
『……ならいい』
スっと目を逸らした芥川に国木田は肩の力を抜く
何故か芥川と話す時には力が入る｡
国｢……貴様こそ大丈夫なのか｣
『……何が』
再び向けられた視線に国木田は少し考える｡
これはもしや踏み入り過ぎた質問ではないのか？敵の幹部を心配するなどあってはならない事……なのか？
国｢……否､何でも……｣
『……僕は変わってなどいない……心配無用だ』
国木田の言葉を予想してか芥川はそう云残し､塩パンを彼に渡して去っていった
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください！ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー！ (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます！ (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります！ (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らしろ | 作成日時：2019年6月22日 17時
