第百五十三話『ロングヘアノ少女再ビ』 ページ42
共喰いから二週間後───
『……ん?』
いつものパン屋の帰り。
大量のパンを買った芥川は久し振りの午後の休日に気分が上がっていた。
だからという訳では無いが……迂闊だなと思いながらもベンチに座って泣いている、ロングヘアの見覚えのある少女の頭を撫でた。
『……如何した、谷崎妹』
ナ「……ナオミですわ」
『……パン、食べるか?』
無花果パンだぞ、と云って隣に座り差し出す。
彼女はお礼を云い、一口食べた。
ナ「……美味しい」
『だろう?ここのパンは本当に絶品で、たくさんの種類があるのにも関わらずハズレが一つもないのが素晴らしいんだ。』
ナ「ふっ……ふふふっ、このお店が本当に好きなんですね」
『当たり前だろ?常連客だし……昔から世話になっている店だからな』
敢えて泣いている理由を聞かずに違う話をする。
パンのこと、スイーツのこと、美味しいランチの店など女子らしい会話をした。
『……今日は兄は仕事か?』
ナ「……ええ、仕事……ですの……」
それまで明るかったナオミの表情がわかり易く曇った。
しまったと思いながらも云ってしまったものはしょうがない。
『……何故、泣いていた?』
するとナオミは少し微笑んで首を横に振った。
やはり触れてはいけなかったかと、バツの悪い顔をするとナオミは少し慌てた様子で芥川の手を握る。
ナ「そんな顔しないでください!私は大丈夫ですから!ただ、兄様を叱って少し落ち込んでいただけですわ!」
『……えっ?ナオミが兄を叱って何故お前が落ち込む?』
ナ「……だって……兄様……いくら社長の為とはいえ……」
ナオミが芥川の顔を見らずに口篭る。
そこで芥川はハッと気が付く。
『……首領の件か』
ナ「……鏡花ちゃんから聞きましたの」
『…………ナオミ、でも谷崎……兄は人を殺していない』
ナ「……っ、そうですけど!それはその寸前でマフィアの夜叉が……」
『仮に……夜叉が谷崎の暗殺を防げなくとも、彼奴は人を殺さなかったと、思う』
ナ「どうしてそう云いきれるんですの!?」
『……では聞く。妹である貴様が何故、兄は人を殺すと思う?』
芥川の質問にナオミは驚いた顔をする。
慥かに谷崎があのまま腕を振り下ろしていたならば首領の死は免れなかっただろう。
『
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時