第百四十七話『勘ノ鋭イアライグマ』 ページ36
『(……乱歩さん!)』
彼は何も迷いなく一直線に阿呆の男を目掛けて足を進めている。
途中、此方をちらりと見られたが気にしない事にした。
乱「ねぇ君ちょっといい?」
小「はゥあ!?」
乱歩が来たのならば安心だ。
……今更だが、自分は乱歩に対してとてつもない信頼を抱いているような気がする。
『……僕は帰るか』
ゆっくりと足音をさせずにその場を離れる。
その姿を乱歩は薄らと片目を開いて見ていた。
『却説、早く謎解きをやるか』
幸い、まだ任務までは時間がたっぷりある。
ゆったりと謎解きを────
?「居たである!!」
ドンっと背中に何か当たった。
嫌な予感がして後ろを振り返るとアライグマがこちらを見上げていた。
ポ「流石はカール!よくやったである!」
『おいおいいやいや、待て。やめろ、僕を巻き込むな』
ポ「……と、云われても乱歩君からのお願いだから断れないのである」
ポオも乱歩に超絶なる信頼を置いているらしい。
浅葱色のワンピースで白い外套を着ている女性を引き止めてくれという、乱歩からの頼み事には断れないらしく、ずっと頭をキョロキョロと動かして芥川を探していたらしい。
『……それで、引き止めて如何する?』
ポ「一緒に来て欲しいのである」
『厭だ』
誰が好き好んで巻き込まれに行くか。
絶対に行くもんか。謎解きを乱歩に任せられないのが悲しいが、巻き込まれるのは謎を解けないことより厭だ
『すまんが僕……』
ポ「あれを聞くである」
彼がそう云い指をさした方には警察の人が携帯電話に齧り付くように見ている様子だ
あれは何だ?と尋ねれば、君にも関係ある事だと云われた。
ポ「カール、その子を連れて来るのである」
『……否、だから』
逃げ出そうと走る方向へ視線を向けた時だ。
警察の人がポオを呼んだ。
『よし……』
彼がそちらに気を取られている隙に逃げ……
カ「シャーッ」
『ギャー!噛むな!!』
逃げられなかった。勘の鋭いアライグマが白い外套を噛んだ。必死に抵抗するが離してくれない
『やめろ、外套が破けてしまう!おい、根暗!なんとかしろ!』
ポ「根暗ではない!我輩はポオという名が」
『……いいから!このアライグマをなんとかしろ!』
ポ「アライグマではなくカールである」
『貴様、ふざけるのも大概にしろ』
何故、名前に拘る!?と頭を抱えた芥川だった。
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第百四十八話『車恐怖症トイウ嘘』→←第百四十六話『犯罪ノ証拠ヲ消滅サセル』
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時