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第百二十七話『先導セネバ』 ページ16

敦「あれは……」



『監視装置か。面倒だが迂回するぞ虎猫』



敦「誰が虎猫だ」




手首を握られるのは嫌だから敦の長いベルトを掴んで進むという事で同意し、慎重に歩いていると少し先の壁に装置が付いているのを見つけた




『行くぞ猫』



敦「誰が猫……」



「お前は何をしてこの見張りの仕事を?」



「密入国さ。でなきゃこんな胡散臭い仕事は受けねぇ」



敦「!」



『!』




巡回の警備だろうか。話し声が近付いてくる
それもすぐ後ろの角からで目の前には監視装置……完全に挟まれた




敦「如何すれば……」




冷や汗を流す敦を一瞥し、溜息を吐く
ここは一つ、年上の自分が先導せねばならんなと巡回の警備員たちが来るであろう方へ体を向ける




『────羅生門』



敦「えっ、あっ」




黒い帯は勢いよく伸び、巡回警備員の顔に命中
口を塞いでゆっくりと近付く




敦「ま、待て!何を……」



『五月蝿い、少し黙れ』




慌てた敦が芥川の袖を引っ張る
巡回の男二人は怯えた様子で見上げている




『聞け、許可なく声を発せば殺す。抗命の気配を感じれば殺す……善いな』




震えている男達のインカムから他の仲間の安否確認の声が聞こえる




『喋れ。僕が云った事を聢と理解していれば云うことは……判っているな?』




羅生門を解き、喋れと促す
彼等はオドオドしながら蛇が出たと誤魔化した

……善かった、なんとか乗り切った




敦「おい、芥川!」



『次は集音器の音量を絞れ。此方の動きを気取られぬ様にな』



?「おい……逆らうな。こいつあの“黒外套の禍狗”だ」



?「あぁ……御伽噺じゃ無かったのか」




なんかごちゃごちゃ云っているがまぁ、いい
取り敢えず、あの鼠の居所を聞く




?「し……知らない。俺達はただ金で……」




瞬間、黒く鋭い帯が男の耳を掠る




『片耳落として……否、逃げられぬよう脚から……』



?「ほ……本当だ!雇い主の顔どころかここが何の施設かすら知らねぇ!」



敦「多分……本当だ。地下犯罪者が大勢雇われた噂は探偵社も掴んで」



『それはただの噂ではないかもしれんな』



敦「……え」




あの鼠ならそういった偽りの噂を流すのは得意だ
もしかしたらその中に何か重要なものを隠している可能性が……




『……否、何でもない。駒でなく、使い捨ての雑兵か』




溜息を吐いて目の前の男たちを睨んだ


.

第百二十八話『人助ケニ向イテイル』→←第百二十六話『出来ル限リハ』



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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時

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