第百二十五話『知ッテイケバイイ』 ページ14
キィッとブレーキ音がしてトラックが止まった
国｢着いたぞ｣
国木田の声がして前の方へ行く
太宰と敦も前のフロントガラスから外の様子を伺う
敦｢凄い数の見張りが……｣
太｢全員音声無線持ちだ｡闘えば敵本部が気付く｣
なにやら太宰達が説明しているがどうでもいい｡早くこの奥にいるであろう蛆虫共を成敗してやりたい
『……要は見張りを突破し奥の罪人を裂けばいい』
トラックから降り､入口を見据える
後ろから敦が自分を呼ぶ声が聞こえた
『いいか人虎､二点のみ記憶せよ｡遅れれば捨て置く､邪魔すれば殺す』
じっとりと彼を睨んだ芥川は羅生門を出し地面に突き刺し､自分を持ち上げ見張り達を跨ぐようにして入口より少し奥の岩天上へ着地した
『羅生門……』
地面を音なく抉り､無事に中へ侵入できた
チラリと後ろを振り返って敦を確認する
『(……来てないのか)』
ならば置いていく
少し溜息を吐いて前へ進む
『所詮､唯の虎猫｡こんなところで遅れをとるわけにはいかぬと僕の後ろを歩けば』
刹那､芥川の真横に何かがきた
身構える暇もなく驚いて横を見ると手脚を虎化している敦がいた
敦｢もうお前に遅れをとるつもりはない｣
そう云って真剣な顔付きの敦に芥川の口角は上がる
敦は芥川の後ろではなく横に並び､二人は奥へと進んで行った
国｢あの二人は無敵だと思うのは俺だけか｣
ポツリと呟いた言葉に太宰は笑みを深める
太｢奇遇だね､私も同じことを思っていたよ｡悔しいけど芥川君の相棒は敦君が務まる｣
顔を見合せば必ずどちらかが喧嘩を吹っ掛けるが､共闘ともなるとフィッツジェラルドの件といいあの二人は息もぴったりだ
国｢……敵対組織というのが難点だがな｣
太｢逆に敵同士だから解り合えるものもあるし､譲れないものもある｡あの二人にはそれが丁度いいのさ｣
互いのことを解っているようで知らないことも多い
けれどそれはゆっくりと知っていけばいい
彼等の過去を､本当の想いを､まだ見ぬ未来を……
太｢私では叶わなかった事を彼等は容易く成し遂げるだろう｣
太宰の言葉を国木田は黙って聞いてきた
彼の云いたいことはなんとなく判るが､完璧に理解はできない
国｢……俺は成し遂げられないと判っていても努力は惜しまん｣
太｢国木田君らしいや｣
クスリと笑う太宰をちらりと見て国木田はエンジンを掛けた
.
第百二十六話『出来ル限リハ』→←第百二十四話『君達ニ掛カッテイル』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください！ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー！ (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます！ (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります！ (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らしろ | 作成日時：2019年6月22日 17時
