第百三十三話『闘ウ理由』 ページ22
敦「全く……僕を囮にするなんて」
不満げな敦がこちらへ歩いてくる
そんなこと云われても判っていて突っ込んだだろう貴様
『……日頃の行いが悪い』
敦「お前にだけは云われたくない」
あとは荷運車を追い掛けるだけだ
視線を線路を向けた時だった。ゴッと鈍い音が隣からした
『……っ、人虎!』
殺した筈のゴンチャロフを見ればそれは土でできた人形だった
敦を見ると見た事のある模様が浮き出ていた
────ウイルス異能だ
ゴン「最初から貴方達は主様の掌の上なのです」
これも全てあのドストエフスキーの策略通りなのか?
ならばもう打つ手は……
ゴン「そろそろお別れの時間ですね」
彼はパチンっと指を鳴らせると芥川達の足元が泥沼と化した
ウイルス異能のこともあり、もうこれ以上力が出せない
『……』
あぁ敵が背を向け歩いて行く
……ここだ。今この瞬間が逆転できる好機だ。
『……聞いていいか、敦』
敦「……な、何を?」
『僕は今、勝ちを確信した彼奴を地獄に突き落としたい』
敵が勝ちを確信した時が最大の突破口
その為には彼に一つ聞かなければならないことがある
『貴様はまだ、“生きる許可”を貰う為に足掻いているのか?』
敦は自分を“相棒”と云ってくれた
ならば知っておかなければならない。彼が苦しく、辛い思いをしながら闘う理由を。
『お前は僕を“相棒”と云ってくれた。いつかこの世界に本当の幸福が来る日までこの街を、護るべきモノを守る……という僕の使命を知っての言葉だ。』
敦の言葉は、生意気という憎たらしい感情より、感謝という嬉しい感情の方が先だった。
しかし口が裂けても云いたくない
敦「……変わらないよ。」
『だが貴様の師は死んだ筈だろう?……何故、今でも』
敦「死んでないよ……今もお前の後ろに立ってる」
ゾクリと背筋が震え後ろを振り返る
……が、何も無い
敦「白鯨の頃より頻度は減ったし、葬式以降は何も云わなくなったけど────まだ消えない」
院長は敦の頭の中に棲んで正しい事を為せと呪いを吐き続けているらしい
敦「死んだ相手には復讐も出来ない」
虚ろな目の敦に手を伸ばした
消えてしまいそうで怖かったからだ
しかしその手は彼に掴まれた
敦「でも今、改めて思った」
彼はこちらを向いて口角を上げた
何かを確信した瞳に変わった
敦「僕が闘う理由は────」
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時