第百二十二話『何ガ最適解』 ページ11
『樋口か?……ああ、大丈……何故、泣く?…………そうか…………すまんな。判った、直ぐ向う』
樋口から連絡があった
途中泣き出す場面があり、理由を聞けば芥川が心配で堪らなかったらしい
『涙脆いのは健在か』
呟いて電話を切る
内容は梶井による“檸檬花道”を発動するそうだ
『……
溜息混じりに云い、部屋を出て地下三階へ向かった
.
コツ、コツッと、靴音を鳴らし部屋に入る黒い影
黒い瞳の先にはベッドで寝ている一人の男
『……ん?』
部屋の壁に掛かってあった服が落ちている
上の階の爆発の振動がここまで来たのか?
『埃は付いていないか……しかし床に落ちた故、洗濯した方が』
?「否、それば大丈夫だよ。芥川君」
『しかし……えっ?』
声のした方を見ると先程まで寝ていた男───森鴎外が上半身を起こして此方を見ていた
『……首領?』
森「そんなに驚いたかい?……早速だが君にお願いがある」
森は重たい身体を動かして立とうとする
芥川は瞬時に支えて彼の次の言葉を待つ
森「……今から外へ出る」
『そ、そんな!今出てしまえば探偵社共に!』
森「大丈夫だ。目的地までは近道すればそう遠くない」
『そういう問題では……』
何故この人は一番安全な場所から出ようとする?何か目的があっても外へ出るのは危険すぎる
森「君ならどうする?」
『……え?』
森「君が私の立場であれば君はどう行動する?何が最適解だと判断する?」
突然の質問に思考が追い付かない
『……僕は貴方の考えまでは判りません』
森「違う、私の事ではない。芥川君ならばどう行動するか知りたいんだ」
『僕の……?』
ハテナマークが浮かぶ。何故、彼は命の危機に直面しているのにも関わらず、こんな弱い狗の言葉を聞きたいのだろうか?
『僕が……貴方の立場……』
目を瞑り想像する
この世の終わりだと泣きじゃくる部下の顔、悲しみに明け暮れる妹、怒りに震える上司達。烏滸がましいが、自分の為に命を呈して戦う姿が容易く想像できた
『……ああ、僕ならば直ぐに“共喰い”の異能を掛けられたもう一人の奴に逢いに行きます』
大切な人達が傷ついて欲しくない、だから……
森「そう、だから私も君と同じだよ」
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時