第百五話『救イ出シテ』 ページ25
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────とある船
「罪とは思考、罪とは呼吸。彼はそれから解放されたのです」
首を吊っている五大幹部のAを見上げるフョードル・ドストエフスキー
その隣に立つ少年は有り得ないものを見るような目でAと口角を上げている隣の男を見る
少年「それじゃ捕まったのも計画の内……あんたの狙いは金庫室の宝石?」
ド「宝石?あんな石ころ興味ありません」
フョードルはマフィア構成員の異能の詳細が書かれているリストが狙いだと少年に教えた
ド「───これを用い、この地の“悪”に死の救いを」
少年は悟った
最初からAに勝ち目などなかった
Aは“悪”だが、目の前に居る男は“悪”ですらない
人間すら超越した“何か”……
ド「異能を知られたとは敵が気付けばリストの価値は半減です。故に此処での出来事を外部に漏らす訳にはいきません」
フョードルの細い腕が少年に向かって伸びてゆく
ド「従って貴方がたには大いなる沈黙を差し上げます」
────これがぼくの本当の異能です
瞬間、少年は血を吐いた
倒れた彼の表情は安らかなものだった
ド「罪の軛より解き放たれ、魂の救われんことを」
少年を見下ろしぽつりと呟いて部屋を後にする
コツッコツッと息絶えたAの構成員達が倒れている廊下を歩いて行く
ド「次はポートマフィア、そして探偵社です」
不敵に笑いながら船の甲板に出て空を見上げる
ド「そして必ず貴女を───死の淵から救い出してみせます」
***
『……っ!』
ゾクッと背中に悪寒が走る
なんだなんだ?ゆ、幽霊か?それなら織田作を希望する
『き、気の所為か。最近、十分に寝ていないからだな、ああ……きっとそうだ』
そう自己解決をして机に突っ伏した
書類整理も終わったし、久し振りに任務は無い
組合戦が終わった後はこんなにも平和なのか
『……いや、違うな。嵐の前の静けさだな』
欠伸を噛み締めながら、ストラップを弄る
紙だらけの机の上にずっと放置していた何時ぞやの虎のストラップ
『懐かしいなこれ。虎といえば……何故あの時、白虎は僕を襲わなかったのだろうか』
敦と初めて会った路地裏でのこと
虎に変身した敦は芥川を攻撃せず、甘えてきた
『会った事がある?……否、真逆な』
慌しい足音が廊下から聞こえる
樋口だろうと少し笑いながら虎のストラップを優しく机に置いたのだった
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らしろ(プロフ) - Regulusさん» コメントありがとうございます。楽しみにして下さり嬉しいです。頑張ります(*^^*) (2019年6月19日 20時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - このお話大好きです(*≧ω≦)続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年6月15日 6時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
光牙(プロフ) - 私的には太宰オチがいいな〜。個人の意見なんで気にしないでくんさい。そして更新がんばれ!応援してます(^ー^)ノ (2018年12月11日 21時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - Lamia0495さん» コメントありがとうございます。オチはまだ未定ですが、色々考えてみます( ^^ ) (2018年9月12日 0時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
Lamia0495(プロフ) - 敦くんオチ…だったらいいなぁ… (2018年9月11日 20時) (レス) id: a731b4f87b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年9月8日 18時