漆黒の狗は原作を知らない為困っているそうです3【文スト】【芥川成り代わり】

第百話『敵意ヲ向ケズニ』 ページ20

男｢俺は……あの組合の船に乗っていたんだ｣



『組合の船？……ああ､梶井さんの檸檬爆弾で粉々になったあの船か』




生き残りが居たか……という事は復讐か
なら此処で始末してもよさそうだな




『賢治､離れとけ｡僕が彼奴の動きを(物理的に)止める』



賢｢協力してくれるなんて……ありがとうございます！｣



『礼などいらん』




白い外套から黒い外套に変えて羅生門を繰り出し､動きを封じた｡なんだ､思っていたよりあっさりと捕まえられた


……しかし､変だ




『おい貴様､街の無関係な人達を傷付けたらしいな｡この横浜を穢す者は誰であろうと許さんぞ』



男｢黙れ！俺の仲間を全員殺しやがって！！お前だけは許さん！芥川龍之介！｣




男が叫んだその時｡男の周りから鋭い短刀が何本も現れた
そしてそれは一斉に芥川に襲い掛かる




『ちっ､それが異能か』



男｢斃ればいい！お前が俺に敵意を向ける度に襲い掛かる！最高の異能だ！｣




成程､敵意を向けられた相手に短刀が襲い掛かる異能か｡しかもこれ､男の意識と関係なく短刀が一人でに動いている




『しかも早い……っ』



賢｢芥川さん！後ろ……！｣




賢治の声を聞き後ろを振り向いて仰け反る
シュッと刃が芥川の頬を切る
……これは一筋縄ではいけそうにない




『少し早いが､息の根を止め』



賢｢退いてくださーい｣



『どあっ！？』




芥川の頭上スレスレを何かが通った
刹那､ゴンッ！と鈍い音がした




『……よくやったと思う』



賢｢芥川さんが宣言通り､動きを止めてくれたからですよ！｣



『(……息の根を止めようと思ってたんだが)』




賢治が何処からか持って来たドラム缶を投げたおかげで男は気を失っていた

……敵意を向けずに相手に物を投げるのは賢治ぐらいだろう




『それじゃあな､賢治｡僕は帰る』




あとは賢治に任せれば大丈夫だろうと路地裏の奥へと進む




賢｢そっちは行き止まりですよー！｣



『……ゴホッゴホッ､判ってる』




咳をして回れ右をする
そして路地に出ようとした時だ




？｢キャッ｣



『おっ､と大丈夫か……って銀！？』



銀｢姉さ……！少し匿って下さい！｣




そう云って背中に隠れた
芥川も賢治も不思議に思い首を傾げていると前方から物凄い勢いで女と男が走ってきた




？｢あ､芥川先輩！？｣



？｢お､おのれ！撫子を何処へ隠した！？｣




またなんか巻き込まれた
芥川は溜息を吐いたのであった


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