第九十七話『寂シイハ違ウ』 ページ17
太「ねえ、Aちゃん。真面目な話、私のお嫁に来ないかい?」
『僕なんかより街を歩いている女性が魅力的で素敵だと思いますが?』
太「そういう謙遜的なところも凄く良い」
「ああ云えばこう云う」
又もや溜息をつきながらフライパンを出して熱し、卵を器に割って混ぜる
太「ああ、エプロン姿もいいアダッ!」
『黙ることを覚えろ』
太「ツンデレだなぁ〜もうそういうところも好き」
『言葉が甘々しいから砂糖ではなく塩を入れようか』
太「砂糖でお願いします」
やっと大人しくなった
混ぜた卵に砂糖を入れてフライパンに入れる
太「ねえ、Aちゃん」
太宰は芥川の黒い外套をギュッと抱き締めながら口を開く
太「私が居ない四年間は寂しかったかい?」
『いいえ』
太「……っ、そう……か」
芥川の方を向かずにじっと
太「……私は寂し……かった」
ジューッという音と美味しそうな匂いが鼻を擽る
芥川は手を休めずに次の料理へと取りかかっていた
太「二年間地下に居たんだ。そして外に出た時、君に会いたくなってね……でも我慢したよ
……でも数ヶ月すると君は指名手配犯になっていて、流石に驚いた。けどね、君の顔写真を見た時、少し嬉しかったんだ」
『……』
太「君に会えるかなって路地裏を歩いたりもしたのだよ?でもそんな都合よくは会えなくて……」
『太宰さん、矢っ張り何時もより増して変です。
それで?如何したいんですか?僕は貴方に何をすれば……ッ!』
手を止めて太宰を見た
酷く哀しそうに虚ろな目で遠くを見ていた
その姿は“孤独”という言葉がピッタリで───
『太宰さん、貴方がマフィアを出て行っても私は寂しいとは感じませんでした。だって判っていたことなんですから』
太宰の側に行き、しゃがんで顔を覗き込む
鷲色の瞳に芥川の顔が映る
『けれど一つ云っておきます。寂しく
太「……本当かい?」
『ええ、五月蝿く名前を呼んで、何時も傍に居た人が突然いなくなってしまったので心にポッカリと穴が空いたようでした』
太「……それ、“寂しい”って云わないかい?」
『…………違う』
少し間があったが否定をする
太宰の意見に同意すれば面倒臭い事になるからだ
けれど、心做しか表情が明るくなった太宰だった
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らしろ(プロフ) - Regulusさん» コメントありがとうございます。楽しみにして下さり嬉しいです。頑張ります(*^^*) (2019年6月19日 20時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - このお話大好きです(*≧ω≦)続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年6月15日 6時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
光牙(プロフ) - 私的には太宰オチがいいな〜。個人の意見なんで気にしないでくんさい。そして更新がんばれ!応援してます(^ー^)ノ (2018年12月11日 21時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - Lamia0495さん» コメントありがとうございます。オチはまだ未定ですが、色々考えてみます( ^^ ) (2018年9月12日 0時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
Lamia0495(プロフ) - 敦くんオチ…だったらいいなぁ… (2018年9月11日 20時) (レス) id: a731b4f87b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年9月8日 18時