漆黒の狗は原作を知らない為困っているそうです3【文スト】【芥川成り代わり】

第八十七話『オ友達ニナリタイ』 ページ7

急だが､僕はポートマフィア所属
五大幹部及び遊撃隊隊長


そう､泣く子も黙るポートマフィアなのだ




｢此方ですわ！｣



『わっ､判ったから引っ張るなっ！』




然しどうだろう｡確かに泣いていたこの少女は僕を見ただけで黙った
黙ったのはいいのだが､問題はここからだ




｢芥川さん……いえ､Aさん！私にアイスを奢ってくださったら兄様を傷つけた事はチャラにしてあげますわ｣



『……案外､軽いな』




そう､この少女
兄──谷崎潤一郎をこよなく愛す､ナオミである


彼女は､何故か僕の顔を見た瞬間､ズンズンと此方に来て腕を掴み｢アイスが食べたいですわ！｣といきなり云い出したのだ




『(……あからさまな作り笑いだな)』




仕方なくアイスを購って近くの公園のベンチに座る
ちらりと横を見ると彼女の涙はもう乾いていた


泣いていたのは兄と喧嘩をしたか……喧嘩をしたか……
……喧嘩をしたという事しかなさそうだな




『……なぜ世界一大好きな兄と喧嘩した？』



ナ｢……別に喧嘩したなんて一言も云っていませんわ｣




暗い顔をしてプイっとそっぽを向く｡なんて判り易い反応だ




ナ｢唯……最近､構ってくれないだけですわ｣



『寂しいのか』



ナ｢……兄様は仕事だから仕方のない事です｣




哀しそうな表情が一瞬だけ､銀と重なった
そういえば銀にもあったな……
一時期､全然構ってやれなくてプチ反抗期が来たのだ




『……喧嘩することはいい事だ｡
互いの思っていることをぶつけ合う｡然すれば自然と蟠りが消え､以前より善い関係が築ける』



ナ｢……若しかして､貴女もきょうだいがいるんですの？｣



『ああ､お前と同じくらいの歳の妹がな』



ナ｢あら？その妹さんと気が合いそうですわ｣




クスクスと笑う彼女に少しほっとする
初めて笑顔を見た気がする




『そういえば何故､僕に近付いた？仮にも僕は……』



ナ｢鏡花ちゃんに聞きましたわ｡私も“芥川龍之介”は大っ嫌いです

でも､Aさんは好きですわ｡お友達になりたいと思っていますの｣



『……たく､鏡花め｡いろんな奴に話しすぎだ』




少し溶けているアイスを口に含む
甘いバニラが口に広がる




ナ｢それに貴女のような方は友だちが居ないでしょう？｣



『なあ､矢っ張りお前は私が嫌いだろう？』



ナ｢ふふっ､冗談ですわ｣



『サラッと冗談を云うお前が恐ろしいよ』




溜め息を吐いてまた一口食べた


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