漆黒の狗は黒の時代でも困っていたそうです5【文スト】【芥川成り代わり】

第百八十五話『眩シイ光』 ページ28

『……痛い』



太｢……すまなかった｣




太宰は彼女の右頬にキスをして抱き締める

芥川は抵抗せず体を太宰に委ねる




『……坂口安吾は』



太｢……彼は行方知らずだ｣



『……そう､ですか』




静かに呟いて目を閉じる


一体､この先には何が待っているのか
漫画の原作に織田作之助が出てこないのは
今回の件が関連しているからか？


そういえば組合編の時､太宰と坂口が対面した場面では
意味深なことを────




太｢……さぁ､今日は休もう｡一旦､考えるのはやめるんだ｣




芥川の口と鼻に布が当てられ､その途端に睡魔が襲ってきた

最後に見たのは口角を上げた太宰の哀愁漂う笑みだった




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『……っ』




眩しい光で薄らと目を覚ます
それでも目が開けられなくて寝返りをうつ




太｢ほら､Aちゃん｡朝だよ｣




目の前には輝かしいほどの笑顔を浮かべる太宰




『……んぁ？』




寝起きだからか頭の整理ができない
蒲団を頭まで被ってもう一度目を閉じる




太｢あっ！ちょっと二度寝しようとしてるだろう？｣




ゆさゆさと体が揺れる

……否､待て｡朝なのに何故､包帯野郎がここに居る？

というかここはどこだ？誰のベッドだ？




『……ここは？』



太｢私の家だよ｣



『…………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』



太｢何その声｡急に眠った君を連れて来たのだから
文句は無しだよ｣



『……急に眠った？』




あれ？そうだったか？
昨日のことを思い返してみるが全く思い出せない｡
織田作を救けて病院で太宰と逢って……




太｢───おはよう､私のお姫様｣




ギュッと蒲団の上から抱き着いてくる太宰に
芥川は抜け出そうと暴れるが､そこは男と女の差｡
全くと云っていい程に芥川の足掻きは太宰に通じない｡




『……離してください｡聞いてるんですか？
太宰さん､早く離し､おい｡どこ触ってる？
どさくさに紛れて変なところを触るな変態！！』




肘で思いっきり攻撃するが､彼は枕で防いでしまう｡
最悪だ｡無駄に頭がいいだけある｡
芥川の攻撃を全て見切って防いでいる｡




『その頭脳を他のところで役立てろ､悪魔』



太｢Aちゃぁん､大好きだよ〜｣




芥川の言葉を無視してスキンシップを図ろうとする
太宰に負けじと頭突きを喰らわす




太｢……あだっ｣




攻撃を喰らったのに何故か離れない腕｡
芥川は彼の顔面を潰そうと手を伸ばした｡


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