漆黒の狗は黒の時代でも困っていたそうです5【文スト】【芥川成り代わり】

第百七十四話『マフィアラシクナイ』 ページ17

━━━━━━
━━━
━


────二年後





『……綺麗』




目の前のカクテルを見ながら感動しポツリと言葉を漏らす




織｢そうか｡沢山あるぞ｣




場所はBAR､ルパン
久し振りに外食を済まし本部へ帰ろうと街を歩いていたら織田と逢った
彼は芥川を見つけるなり駆け寄って｢一緒に飲もう｣と云った




『真逆､貴方に誘っていただけるは』



織｢もうお前も大人だからな｡一緒に飲みたいと思っていたんだ｣



『……ん？』




大人？否､芥川はまだ未成年だ
もしかして織田作は……




『僕は幾つに見える？』



織｢二十歳じゃないのか｣



『そんな歳じゃない｡僕は十六だ』




織田はキョトンとした後､芥川の目の前にあったカクテルをそっと自分の方へずらした




織｢……悪い｣



『否､大丈夫だ｡マスター､オレンジジュースはあるか』




マスターは奥に行って暫くし帰ってきた｡オレンジジュースはないが､トマトジュースならあるらしいのでそれを貰った
此処のトマトジュースはとても美味しかった




『今日の仕事は何をしたんだ？』



織｢人探しだ｣



『人探し？』



織｢マフィアと取引をしてい社長が行方不明になってな｡
探すのを手伝っていた｣



『……へ』




マフィアらしくない仕事に芥川は驚く
マフィアの構成員を探すのではなく取引相手の社長……か




『見つかったのか』



織｢ああ｣



『なら良かった｡何処に居たんだ？』



織｢風呂場で死体となって見つかった｣



『……そ､それは宜しくないな』




苦笑いをしてトマトジュースを飲む
甘ったるくなくてとても飲みやすい




『最近はよく此処に来ているのか？』



織｢ああ､偶に太宰や安吾に逢ったりするぞ｣



『そうなのか』




それから他愛もない話をした
毎日､太宰が執拗い話や咖喱の話､異能の話などなど




『また此処へ来て話してもいいか？』




こんなにも喋りやすい人は滅多に居ない
マフィアの中でも芥川は気軽に話せるのは片手で数える程しか居ない
……誰かさんの所為で




織｢勿論だ｣




そういえばこの人は漫画に出てこなかった気がする
太宰や芥川の口からも彼の名は一度も……




『また来る』



織｢気をつけて帰れよ､おやすみ｣



『……おやすみなさい』





それから偶に彼とBARでいろんな話をした
時に､太宰や安吾も混じって夢のような楽しいひと時を過ごした



しかしその時(・・・)は刻一刻と迫っていたのであった



.

第百七十五話『黒ノ時代開幕』→←第百七十三話『泣カセマクリ』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す