漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです2【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ47)

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第××話『幕閉ジノ夜 “参”』ページ47

『綺麗ですね』

太｢……ああ｡本当に綺麗だ｣

しみじみ云う太宰に違和感を感じ彼の方を向く
するとパチッと目が合った

『何です？』

太｢ふふっ､いやぁ……あっそういえば｡敦君と喧嘩したの？｣

『は？喧嘩？顔を合わせる度していますが』

太｢仲がよろしいことで｣

『どこがだ』

ふいっと顔を逸らして前を見る

太｢……ねえ､Aちゃん｣

甘ったるい声を出して彼が彼女の髪を掬う

『……何ですか』

太｢君は何時になったら私の気持ちと向き合ってくれるんだい｣

『何の事だか』

太｢またそうやって逃げる｡何が君を邪魔しているのかな｣

そっと太宰の顔が近付き頬にキスをされた
ゆっくりと離れていった彼の表情は苦しそうだ

太｢少しは動揺したり､顔を赤くしてもいいんじゃないかい？｣

『……止めてください』

太｢また拒否の言葉か｡Aちゃん､それでも私は───｣

中｢ンだよコレェェェェエエエエエエエエ！！｣

突然の叫び声に太宰と芥川の肩が飛び跳ねた
声のした方を見てみれば何時の間にか中也が車から降りて自分の服を凝視していた

『……それは服です､中原さん』

中｢ンなこたァ聞いてんじゃねぇ！何で血塗れかって聞きてェんだよ！｣

彼の服は暗くてよく判らないが濡れてはいた
が､血ではないと思う

太｢はぁ？血じゃないだろうそれ､君が零した赤ワインじゃないか｣

中｢でもな､額が痛てェんだぞ！？触ったら血が出てたんだ！この服が濡れてるのは額から出た血で……｣

『済みません､中原さん｡その額は僕がパンプスを思いっ切り振りかぶった所為で当たってしまったみたいで』

ポカンと間抜けな顔をする中也
それを面白そうに笑い腹を抱える太宰

太｢あはははっ！飲み過ぎだよ中也っ､よく見給え｡その服からアルコールの匂いがするだろう？｣

中｢えっ､ああ……｣

『酔いが覚めたようで善かったです……では』

中｢おい待て､芥川｡額の怪我については善くねェからな｡ちゃっかり逃げようとするな

……って､クソ太宰｡その右手に持ってるもんは何だ？撮影機じゃねェだろうな｣

反撃だとでもいいたげな中也の恐ろしい笑みに唯々､冷や汗を流すしかなかった

その後､太宰は逃げた
僕を置いて中也の財布を盗み逃げやがった

僕は苛々MAXの中原さんに捕まった
正座で二時間も説教をくらい､その時間はまるで地獄だったとは云うまでもない

end.