漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです2【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ44)

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第××話『番人ト探偵社“参”』ページ44

目を開けて天井を見つめる
頗る体調がいい､久しぶりによく眠った気がする

｢起きたか｣

『あぁ､よく眠れ……っ！？』

本を閉じ不思議そうに彼女を見つめる男
一方､芥川の脳内はパニック状態

『お……お邪魔して……る……福沢殿』

福｢久し振りだな｡先刻は済まん､真逆医務室から貴女が飛び出してくるとは思わなかった｣

……だろうな｡医務室から突然敵が現れたら驚くよ
という事は､ぶつかったのは福沢だったんだと土下座を繰り出す

『ぶつかってもっ､申し訳ございません！その……帰ります！』

福｢いや､こちらこそ悪かった｡もう少し寛いでいけばいいのだが｣

『いえ､もう夕刻だ……失礼する』

ちらりとカーテンの隙間からの夕日を確認して静かにベットから降りてドアではなく窓へと近付く

『ん？あの福沢殿｡この服って？』

血が滲んだ紺色のワンピースではなく､淡いピンクのワンピースを着ていた

福｢うちの社員が貴女に渡して欲しいと云ってきてな｡あの服は血が滲んでいただろ？与謝野が着替えさせていた｣

『態々済まない｡これ良い色だな……僕には勿体無い』

福｢そうか？よく似合っている｣

『ありがとうございます｡しかしこのワンピースは誰が……』

その時だ｡荒々しく扉が開かれた
扉の方へ目を向ける

『あ､えっ……乱歩さんか』

乱｢ねえ､何その云い方！僕が太宰をこの部屋に入らせないようにしてたんだよ！？感謝してよ！｣

プクッと頬を膨らませながら怒る姿に笑いそうになったがなんとか耐える

『そ､そうなのか！ありがとうございます……ではこのワンピースも貴方が？』

乱｢いやそれは太宰｣

『……は？』

驚いて乱歩を見る
どこからか駄菓子を出してパクリと食べながら喋る

乱｢僕はそういうの判らないから太宰に頼んだんだよ｡まっ､Aが気に入ってくれてよかったけどね！｣

『(この服､僕の好みだし……もしやあの人､僕が居るって……)』

乱｢気付いていただろうねえ｡だからそのワンピースは君好みなんだよ｣

女たらしは矢張り健在なんだなとワンピースを見て溜息を吐く

福｢定時を過ぎたらから社員は居ない｡表から出てもいいぞ｣

乱｢太宰が居るけど｣

『裏から帰らせていただきます』

与謝野にお礼を云うように伝え､白い外套を持って窓から飛び出す

後から思ったが､探偵社の医務室は居心地がいいなと頬を緩ませた

end.