第六十二話『冷メタ珈琲』 ページ22
太「……相当無理してるようだね」
坂「昔からですよね……」
彼女が出て行った病室は最悪と云っていいほど冷め切っていた
太宰は芥川がいなくなり用はないと手を振って病室から出て行った
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太「みーつけた」
『……』
太「缶珈琲飲むかい?」
『……あったかいの』
太「判ってるよ、ほら」
蓋付き珈琲を片手にベンチに座る芥川の隣に腰掛ける太宰
ある公園。心地の良い風が彼女たちの頬を通る
『また取り乱してしまいました。すみません』
太「君が謝ることは無い。大丈夫だよ」
『……でも元はと云えば、貴方が現れたのがいけないのですが』
蓋を回してゴクンッと珈琲を喉に通す
ほろ苦く、昔を思い出してしまう味だ
『……?なんか少し冷えてる?』
太「ふふ、それ実はね?さっき私が飲んだやつだよ。間接キスだねえ」
『ぶっぅぅうう!!』
もう一度口に含んだ珈琲を思いっきり吐き出す
何を云い出すんだこの男は!?
太「うわ!ちょっ、汚いよ」
『……何か遺言はあるか?』
太「えっ?Aちゃん大好き愛してぶっ!!」
今のは自分は悪くない。悪いのは全てこの男だ
何が間接キスだ。莫迦莫迦しい、そのくらいで取り乱すな芥川
太「いきなり殴るなんて酷いじゃないか。照れてるのかい?」
『ててててて照れ、る?やっ僕がか、かっ間接きっキキキ、キス如きで……てっ、照れるだと?』
太「凄まじい動揺っぷりだねえ、ふふっ」
顔が茹でダコのように真っ赤な彼女
面白いものが見れたと笑う太宰
『もう要りません!返します!』
太「えっ、いいのかい?ならまた間接キ」
『やらん!』
キッと太宰を睨み付けた後、グビグビと珈琲を飲み干す
太宰は満足そうにニコニコ笑いながら手を叩く
太「よく飲めたねえ。御褒美に私が抱き締めてあげる♡」
『なら死んだ方がマシだ』
太「えっ、そうなのかい!?なら私と心中を!」
ああ云えばこう云う。キラキラと目を輝かす彼に溜息を吐くのは仕方が無いことだ
『……ありがとうございます。少しだけ元気が出ました』
立ち上がって頭を下げる
きっと彼は元気のない私を励ましてくれたのだろう
……方法は最悪だが
太「ふふ、さあ。最終段階だよ。頑張ってねAちゃん」
『ええ、勿論。では失礼します』
白い外套を靡かせて歩いて行く
次は……白鯨へ潜入だ
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らしろ(プロフ) - シアトルさん» 優しいと思えば、意外と裏切られる芥川ちゃんでした(笑) (2018年9月7日 17時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 太宰さんは相変わらずクソであった…でめたし、でめたし…? (2018年9月7日 0時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 埴輪型竹輪さん» そのまさか……かも?しれないです(笑)ご期待ください! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
埴輪型竹輪(プロフ) - え......まさかあの方と関係が...! (2018年9月3日 22時) (レス) id: 4f1c00f9fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 鈴さん» まさか……!です(笑)、次にご期待ください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年7月3日 21時