漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです2【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ19)

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第五十九話『寂シカッタ』ページ19

中｢ぬおあァッ！？｣

中也の叫び声と轟音が聞こえ､芥川は逃げた
此処からは自分の番ではない､と

『(兎に角､安全地帯に逃げないと)』

気持ち悪い巨大タコみたいな奴は二人に任せよう､と判断した芥川は木の陰に隠れて様子を伺う

『まあ､原作は双黒が勝っていたし……大丈夫かな』

久｢……ん､あれ｣

『あれ､起きた？』

目を擦りながらボケっと虚ろな目で芥川を見つめる
彼女は微笑みながら頭を撫でた

『寂しい思いさせたみたいだ……ごめんね』

久｢……寂しかった｣

ボソッと呟き､芥川に抱き着く久作｡目には涙が溜まっており嗚咽を漏らす

『(……まだまだ子どもだもの｡そりゃあ怖いよね)』

弟がいたらこんな感じなのかな？と優しく頭を撫でる
久作は嬉しかったのか頬を赤らめて力一杯に彼女を抱き締めた

『帰ったらご飯を作ってあげよう』

久｢本当！？じゃあ､ハンバーグがいい！｣

『そんなものでいいのか？』

久｢うん！Aの作るハンバーグは天下一品だもん！｣

『そうか……そんなにか｡嬉しいな』

照れる彼女に久作は内心ガッツポーズをする｡彼女が頬を赤らめ微笑む姿を見られてラッキーだとニンマリ笑う

『(……楽しみにしている久作の為に､うんと美味しいのを作らないとな)』

久｢(あの太宰さんよりか先にAを惚れさせてやる！)｣

それぞれ違う決意を胸に視線を轟音のする方へ向ける
そこには巨大なタコのような化け物が空を駆ける影と戦っていた

久｢あの巨大な化け物と戦ってるのってもしかして……｣

『ああ､汚濁状態の中原さんだ』

頷きながら自然と拳に力が入る
この先の未来を判っているが矢張りこの場面は緊張する｡久作も怖くなったのか芥川の手を握る

久｢……大丈夫だよ､ね？｣

『ああ､心配ないだろう｡“双黒”と呼ばれていた二人なのだからな』

瞬間､あの化け物が爆発した｡戦いが終わったのだ
芥川は久作に抱き着き突風から守る｡久作はというと満更でもない顔をしていた

久｢ふふふ……A､帰ろ！｣

『そうだな｡それよりハンバーグの具材を購わなければならん』

久｢えっ！？じゃあ買い物デェト！？｣

『……デェトとは少し違う気がす……まあ､うん｡だな』

期待の瞳を向けられ思わず頷く
はしゃぐ久作で近付く足音が聞こえなかった

太｢へぇ､デェトかい？｣

真後ろに黒い笑みの太宰がいた

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