第五話【新しい家族】 ページ6
『めーたーてーい』
「違ーう!名探偵だってば!さん、はい!」
『迷惑探偵』
「福沢さーん!Aが苛める!」
「……はぁ」
私が檻から出て数年が経った
名探偵こと江戸川乱歩は両親を亡くし、福沢さんの家に転がり込んだ
福沢さんを取られて少し寂しい気持ちもあるが乱歩君も悪い人じゃない。寧ろ、本当のお兄ちゃんみたいで優しい
……偶に私の方がお姉ちゃんみたいだけど
『乱歩君、福沢さん疲れてそうだね』
「そうだね〜、何でだろうね〜」
「お前達は……否、何でもない」
『何?私達がどうしたの!?』
福沢さんに飛び付くと「ぐっ」と声を出して受け止めてくれた
……私、一段と力強くなったのかな?
「Aと僕が本物の兄妹に見えて可愛いなって」
「乱歩……」
『ほんと?本物の兄妹に見える!?』
「……仲睦まじく微笑ましい」
福沢さんはほっとしたような顔で私達を見てお茶を飲んでいた
「まっ、名探偵の名を持つ兄を妹はさぞ誇りに思うだろうね!」
『それを云ったら、女神の名を持つ妹を兄はさぞ誇りに思うだろうね!』
互いに自慢げに話していると後ろに座っていた福沢さんが呟いた
「……そのような名を持つ二人の父親である俺は誇りに思う」
その言葉を私も乱歩君も聞き逃さなかった
瞬時に福沢さんに抱き着いて笑う
『わーい!福沢さんが誇りに思うって!』
「云ってない」
「僕も聞いちゃったんだもんねー!」
「……」
少し照れた福沢さんは観念したように息を吐いた
それからまた数年、また一人家族が増えた
髪の毛に金色の可愛い蝶の髪飾りを付けた少女
『晶ちゃーん!ご飯ー!』
「……ありがとう」
名前は与謝野晶子。福沢さんに連れられ、乱歩君の提案により武装探偵社に入った子。少しずつだが身体がご飯を受け付けるようになった
「……美味しい。これAが作ったのかい?」
『うん!晶ちゃんの為に!やっぱりお粥は万能だよ〜』
治癒異能力の晶ちゃんは過去に色々あったようだ
今は少しずつだが元気になっている気がする
『晶ちゃん、まだ辛い?』
「……?そんなことないよ、Aがこんなにも美味しいお粥を作ってきてくれてだんだん体力も」
『違う。駄目だよ、晶ちゃん。そんな嘘ついちゃ』
急に黙った晶ちゃんはスプーンを置いて俯く
シンっと静まった医務室はやけに寒く感じた
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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時