第四十六話【大切な友人】 ページ47
『……あれ、告白?』
そう言葉にした途端、また顔に熱が集まる。
自慢ではないが今までの人生の中で告白をされた事は有難いことに何回かあった。
しかし今回の告白は今までよりとてもシンプル。
────好きだよ
たった、たった四文字。
それなのに今までとは違って心臓が五月蝿い。
……可笑しい。
『……病気か?』
否、違う。絶対に違う。けれど認めたくない。
溢れてくる想いに蓋をして、自分の頬を叩く。
『……駄目。相手はマフィア。でもマフィア以上に太宰君は私の大切な友人。でも……でも……』
────私はもうすぐ二十歳になる。
唇を噛んで壁を殴る。
壁が大きく抉れる。
けれど自分の拳は無傷。
『……こんな体じゃなければなぁ』
こんな体じゃなくても私は人並みの倖せを得られるのは難しいだろう。
『……帰ろ』
重い足を前に動かし、探偵社ではなくて自分の寮へ向かった。
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次の日の朝……
『やっほーい』
「何が“やっほーい”だ!このど阿呆!しかも昨日は探偵社に戻らずどこをほっつき歩いてた!?」
探偵社に来て早々、国木田君に首元を掴まれてゆらされる。
『わー』
「しかも!昨日はマフィアがいるところに!貴様は!何を!考えて!」
「国木田、落ち着け。中里が苦しそうだ」
「織田は中里に甘すぎる!此奴がマフィアに狙われているのを知って……」
「嗚呼、知っている。だが中里はそう簡単にマフィアに捕まらん」
織田作がはっきりと云うと国木田君はやっと落ち着いた。
私を離して手を伸ばす。
「……心配した」
私の頭を撫でながら云った。
『国木田君が私を心配するなんて明日は槍が降ってくるね』
「黙れ。貴様の所為で二分時間を無駄にした。手を貸せ」
『まったく国木田君らしいね。ところで敦君は?』
部屋を見渡しても敦君の姿は見当たらない。
モーニングコールをしようと寮の彼の部屋に行ったが、居なかったから出社してると思ったんだけど……
「小僧なら大きい荷物を担いでどこかに行ったが」
「家出か?」
『……家出かぁ』
「何!?家出なのか!?」
のほほんと、家出だね〜と繰り返し云っていると探偵社の扉が弾け飛んだ。
そして大勢の黒い服を来た男達が這入って来た。
「失礼」
ザワつく社内。
私は扉が弾き飛ばされる前に織田作に机の下に隠された。
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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時