第四十二話【間に合え】 ページ43
国木田君は私にお説教をした後、晶ちゃん
───与謝野晶子に私を託した。
「なンだい、A。また国木田に怒られたのか」
『ちょいと仕事をしようと思ったら追い出されちゃってさぁ』
「まったく……困った子だねぇ」
そう云って晶ちゃんは目を鋭くさせる。
私はポケットからイヤホンを取りだし耳につける。
「……あの依頼人、怪しいのかい」
『……うん、なんか纏ってる雰囲気が一般人ぽくないから、盗聴器を入れてあげたよ』
イヤホンから聞こえてくるのは国木田君が敦君に芥川君のことを教えている最中だった。
織田作も混じって話をしている。
『うーん、敦君も行くのか……晶ちゃん』
「なんだい?」
『車の用意を頼むね』
「……判った」
私は晶ちゃんの元から離れて国木田君達のいる部屋へ行く。
『おいーす!あれ、敦君達は?』
「ぐっ来たか。彼奴らは依頼人と現場に向かった」
『ふーむ、あっ織田作〜』
私は織田作の元へと駆け寄って小さく耳打ちをする。
国木田君はその様子を不思議そうに見ていた。
『……じゃ、よろしくね』
「嗚呼、判った」
織田作は状況を早くに飲み込んでくれて助かる。
問題は国木田君だ。
「中里!」
『なぁに、国木田君〜私は今から駄菓子の購い出しに行こうかと……』
「……と云って、ゲェムセンターに行くのがいつもの事だろう!今日という今日は仕事をやってもらうぞ」
『げっマジかァ』
私は自分のデスクに座らされた。
そして目の前には書類の山。
『……辛い』
「いいからさっさとやれ。お前ならすぐに出来るだろ」
『うーん本気を出せばねぇ〜』
「ならば本気を出せ!」
バシン!と背中を叩かれて渋々手を動かす。
あーあ、とてつもなく面倒臭い。
ブツブツと文句を云い乍も書類が減っていく。
『あ』
「……何だ?」
『トイレ』
「……はぁ、行ってこい」
返事をしてトイレではなく外へダッシュする。
「おい!中里!そっちはトイレじゃない!どこ行くんだ!この阿呆ー!」
「あはは!!国木田君もまだまだねぇ〜!あはは!!」
口では軽快なことを云っているが、内心はとても焦っていた。
すぐに晶ちゃんと織田作に連絡して急いで敦君達の所へと向かう。
イヤホンから聞こえる声は二人だったのだが、更にもう一人増えたのだ。
『……間に合え』
ポツリと呟いて日差しの強い街を駆けた。
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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時