第四十三話【素敵な挑発】 ページ44
『おっ､間に合った』
案の定､そこには依頼人の樋口ちゃん､芥川君､そして……
｢……おや､遅かったね｣
『お兄さんだあれ？』
｢清々しい恍け方をするね｡まぁ可愛いからいいけど｣
久し振りに逢う友人───太宰君が微笑んで立っていた｡
『同僚を回収に来たんですけど……駄目？』
｢駄目だね｣
『ちぇっ』
不貞腐れていると谷崎君の手がピクリと動いた｡
先ずは谷崎君とナオミの救出が先だ｡
『……国木田君に怒られるのは面倒臭いからちゃんと仕事するか』
懐に手を伸ばして携帯の釦を押す｡
その瞬間､この狭い路地裏に一台の車が突っ込んできた｡
『そこー！危ないよー！轢かれるよお〜』
｢っ｣
車に乗っているのは織田作｡運転手は､晶ちゃん｡
後部座席に乗っていた織田作が谷崎兄妹を回収する｡
いやぁ､最高だねえ！
『スリル満点なドライブだねえ！敦君､ほら早く起きて！』
｢……ぐっ､ん……あ､れ？僕……｣
『おはよう少年！さあさあ､発射用意！』
｢……え？えっえっ？？｣
敦君の腕を掴み､車に向かって投げ飛ばす｡
織田作は叫び声をあげる敦君を容易く受け止めて助手席に放り投げる｡
『よぅし！織田作！晶ちゃん！頼んだよ！』
｢A！死ぬんじゃないよ！｣
｢気を付けるんだぞ｣
『はいはーい！判ってるー！』
車が通れる氷の道を作り､晶ちゃん達を先に探偵社へと向かわせる｡
それを横目で見た太宰君は口を開いた｡
｢もしかしてAは囮かい？｣
『囮？そんな面倒な事するわけないよ｡
私は早く帰ってゲェムして､お菓子を食べたいから｡
唯､逃げる優先順位が私が最後だったってこと』
にっこりと笑って車が見えなくなったことを確認する｡
『却説､七十億の虎の捕獲に失敗したポートマフィアさん｡
新たな作戦を練ってまた私に否､武装探偵社に挑戦してね』
勝ち誇った顔をしてぺこりとお辞儀する｡
勿論､その場にいた三人は嫌な顔をした｡
｢……随分と素敵な挑発だね｡
では此方ももっと刳いやり方で挑もうか｣
『……ふふふ､ご冗談を』
｢冗談？私は本気なのだけど｣
『織田作〜､助けて｡太宰君の目が本気！視線で殺されそう』
まだ通話中だった携帯を懐から出す｡
彼は少し考えて｢大丈夫だ｣と云って通話を切った｡
『……ん？切られた？？』
私は裏切り者ォ！と叫んで笑ったのだった｡
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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい！ (2020年5月26日 21時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください！！ (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らしろ | 作成日時：2019年6月21日 18時
