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第四話【お父さんと呼んだ日】 ページ5

『……福沢さんの養子?』




「ああ、俺が上層部等と話し合いという名の喧嘩をして決まった」




『随分と急な話だね』





頬には擦り傷がついて、眉間に皺がよっている福沢さんを見る
数日、彼を見ないと思ったらそんな事があったのか





『私なんかを養子にとっていいの?』




「寧ろ、俺なんかに養子にとられていいか?」




『えー、なにその云い方。福沢さんがお父さんか〜。嬉しいなぁ』




「……そうか」





というかよく上から許可が降りたものだ。私みたいな異能者は一生この檻(政府)から出してもらえないかと思った





『……もしかしてその頬の傷って』




「昨日猫に引っ掻かれた」




『確かに猫の爪の掻き傷に似てるけど違うよね。鋭利な刃物が掠った後だよね』




「……違う」




『福沢さん』





檻が開いて瞬時に福沢さんに飛び付く
いくら力の強い私でも福沢さんは容易く受け止めてくれる





『そんなので嘘つかないで。福沢さんの嘘は優しい嘘だって判る。判るからこそ、嘘ついて欲しくない。福沢さ……お父さんだけには……厭だ』




「……」





優しい大きな手が私の頭を撫でた
福沢さんは話してくれた。頬の傷は上の人と口論になった時に相手が刃物を出してきた時にたまたま掠っただけだと





『刃物出すほどの口論って……』




「相手がAの事を悪く云ったからな。少し其奴を侮辱しただけた」




『侮辱しただけって……』





私の為に怒ってくれたのは嬉しいが、それで福沢さんが怪我するのは違う





『もう怪我しないで』




「…………ああ、善処する」





だいぶ間があったが善処してくれるようでよかった
そしてふと疑問に思う





『ねぇ私の予想だけど、私が此処(政府)から出られるのって福沢さんの恩師さんの力もあるの?』




「……少なからずは。何故判った」




『大きい力の持つ者か、政府にとって大きな利益を得られるかじゃないと私は檻から出られないから』





私が此処を出る代わりに何か代償がいる筈だと思ったが、恩師さんが手を打ってくれたのなら少しは安心だ





『その恩師さんにお礼が云いたいな』




「と云われても、会おうとして会える人ではないからな」




『そうなの?』





手を繋いで薄暗い部屋から出る
私を閉じ込める檻も、上からの命令も……縛るものは無い





『……お父さん、ありがと』





────初めてお父さんと呼んだ日


.

第五話【新しい家族】→←第三話【自由に外を歩いた日】



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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時

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