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第三十七話【という名の】 ページ38

「ぼ、ぼ、僕はさ騒ぎをき……聞きつけた一般市民ですっ!」




敦君はキョドりながらも前に進む。
思わず吹いてしまった私に国木田君は容赦なく頭を叩く。




「い、い、生きてれば好いことあるよ!」



『それは云える』



「慥かにそうだな」



「静かにしろ、貴様等」




敦君の言葉に反応しただけなのに国木田君に怒られた。
気を取り直して敦君の方を見る。




「誰だか知らないが無責任に云うな!みんな死ねば良いンだ!」




うむ、なかなかの迫力だよ。
そのお蔭で敦君が震え上がってる。




「ぼ、僕なんか孤児で家族も友達も居なくて
この前その院さえ追い出されて、行くあても伝手も無いんだ!」



「え……いやそれは」




それでも彼の説得を試みる敦君も凄い。
そして谷崎君、君はもっと爆弾魔に成りきれ!頑張るんだ!




「害獣に変身しちゃうらしくて軍警にバレたら多分縛り首だし
とりたてて特技も長所も無いし誰がみても社会のゴミだけど
ヤケにならずに生きてるんだ!だ……だだだから」




……なんか物凄いこと云ってるぞ、この子。

皆が呆気にとられる中、敦君は勇気を振り絞って爆弾魔に気持ちをぶつけた。




「虫ケラだって生きている!」



「ぶふっ」




また吹いてしまった私に再び国木田君からの愛の拳骨。
否、だって此処まで云えるのは凄いよ?
私でもこんなにスラスラ言葉が出てこないもん!




「ね、だから爆弾捨てて一緒に仕事探そう」



「え、いや、ボクは別にそういうのでは」




あ、素で谷崎君が困ってる。
判る、判るよ谷崎君。
私もそんなに切羽詰まった感じで云われたら流石に引いちゃう。




「……今だ」




織田作の声で国木田君が飛び出した。
勿論その手には手帳とペンが握られていた。




「手帳の頁を消費うからムダ撃ちは厭なんだがな……!


───“独歩吟各”」




“鉄線銃”と書いた手帳の紙を千切る。
その紙は書いた通り鉄線銃と変わり、谷崎君へと撃った。
その拍子に谷崎君が持っていた爆弾のスイッチが落ちた。




「……なっ!」



『よっしゃー!確保ォ!』




織田作が谷崎君を床に捩じ伏せた。
彼は爆弾を確認してホッと安心した振りをして敦君を見る。




「よくやった」



『うんうん、良くやった!いえ〜い!』




私は敦君とハイタッチしようと片手を上げた。
敦君もそれに応えるように左手を上げた時だ。

敦君は何かに押されてその場で倒れ、爆弾の釦を押してしまった。


.

第三十八話【入社試験】→←第三十六話【爆弾魔立て篭り事件】



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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時

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