第二十五話【御守り】 ページ26
『……織田さん』
「何だ?」
私は彼の目を見た。
綺麗な澄んだ青い瞳だ。
『私に依頼してください』
「……?何を?」
『一緒に敵───ミミックを殲滅して欲しいと』
「駄目だ」
直ぐに否定された。
しかし私は食い下がるつもりは更々無い。
『この件には何か裏がある。その何かは凡そ検討が付いている。
ならば私も協力させて下さい。』
「出来ない」
『如何して』
「危険だ」
『そんなの百も承知です。ですから』
織田さんは少ししゃがんで私と目を合わせた。
そして両肩を優しく掴んだ。
「お前の気持ちは嬉しい。だがこれは俺の仕事だ。
ここから先は俺に任せてくれないか」
『……』
そんな優しい声で、幼い子に云い聞かせるように温かな目で見られたら……
『……判りました』
私は観念して溜息を洩らす。
彼は意外と頑固者だ。これも福沢さんと似ている。
『……ではこれをどうぞ』
「綺麗だな」
『御守りです。きっと役に立ちます。胸ポケットにでも入れて置いてくださいね』
────勿論、左のポケットね?
微笑んで私は異能で作った小さな氷の結晶を織田さんに渡す。
「ありがとう」
『いえいえ、それでは私は坂口さん達と新たな隠れ家に行きます。
後でメールで場所を教えます、夜までには帰ってきてくださいよ』
「あぁ、判った」
織田さんは子供達とおじさんに一言云い、去って行った。
坂口さんは彼の後ろ姿を見届けて浮かない顔をした。
『如何しました』
「……いえ、行きましょう」
顔を見られないようにか私に直ぐ様、背を向けて歩き出す。
『皆!丸眼鏡お兄さんがゲェムを購ってくれるから行こうか!』
「 「 「 「 「 わーい!!! 」 」 」 」 」
「そんな事、一言も云っていませんが!?」
子供達は喜び、坂口さんは焦り、おじさんは苦笑い。
私達は坂口さんが用意してくれた黒い車に乗ってヨコハマの街を走った。
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……夕方
雨が止んで辺りはだんだん暗くなる。
おじさんの咖喱作りを手伝ってた時だ、携帯の着信が鳴った。
おじさんは出ておいでと云ってくれたからお言葉に甘えて携帯を取り出す。
『……あれ、太宰君?』
ゲェムをしている子供達をチラリと見てベランダに行き、電話に出た。
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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時