第二十六話【命に】 ページ27
『もしもし〜』
呼び掛けても返事が無い。
あれ、釦を押し間違えたのか?と携帯を耳から話そうとした時だ。
〈「……A」〉
『如何したの?なんか暗いけど……』
〈「織田作……が……」〉
その時に嫌な予感がした。
厭だ、そんな予感当たって欲しくない。
『……織田さんが?何?如何したの!?ねぇ、太宰く……』
〈「重症になるところだった」〉
『じゅ、重症……に
という事は重症では無いということ?
えっ、待って。じゃあ彼は……?
『……織田さんは』
〈「無事だよ、掠り傷があるが命に別状はない。ありがとう、ありがとう……A」〉
『えっ?何で私なの?でも善かった……無事なのね』
〈「無事だけど氷漬けにされてる」〉
『そうかぁ、氷漬け……氷漬け?』
そこであっ、と思い出す。
今日、小さな氷の結晶をあげたんだった。
あれは命の危機に直面した時に一度だけ、所持している者を氷漬けにしてその者の身を守る事が出来る優れもの。
……織田さん、私が云った通りに左の胸ポケットに入れていてくれたのか。
『じゃあ私は織田さんのところに行けばいいね。場所は?』
〈「今、車に乗せたから私が君の元へ行くよ」〉
『それは助かるよ。えっと、じゃあ異能特務課までお願いね』
〈「……ん?異能特務課?」〉
そう。
一番安全で素晴らしい隠れ家は異能特務課の客間なのだ。
ゲェムもキッチンも用意してくれて文句無し!
この場所を私が提案したんだけど坂口さんは凄く嫌な顔をしていた。
そりゃそうだ、上司にこの事を相談し、許可を貰うのは坂口さんなのだから。はっはっはっ!
『何とか許可が降りてよかったよ、じゃあよろしく』
〈「待ち給え。私が態々そこに?捕まりに行くようなものだろう」〉
『えっ?来てくれるんでしょう』
〈「……君って子は」〉
『にゃはは〜、冗談だよ冗談〜』
〈「どこからが冗談なのかい」〉
『さぁ?ではマフィアの息の掛かったあの甘味処は?』
そう云うと彼はようやく了承してくれて通話を切る。
私はおじさんに事情を話して部屋を出る。
「……ん」
『うっげ』
逢って……否、遭ってしまった!
「のうのうと特務課の廊下を歩くとは……威勢が良過ぎると思うん」
『失礼しました〜』
言葉を遮り、走って突破しようとしたら首根っこを掴まれたのだった。
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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時