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第一話【約束した日】 ページ2

ピチャンッ、と何処かで水滴が落ちた



見回しても何も無い薄暗い檻の外





『……つまんない』





少女が広く大きい檻の真ん中で呟いた





「……誰かいるのか」





今まで聞いたことのない声に少女は顔を上げる
此処は政府のお偉いさんしか入らない場所
今の声は一体……





『だれ?だれかいるの?ねえ、だれなの』




「……俺は政府の用心棒だ」




『ようじんぼう?なにそれ、へんななまえ』





久しぶりにくすくすと笑う
すると足音がだんだんと近くなる





「……もしかしてその檻にいるのが声の主か」




『そうだよ、わたしだよ。あなただれ?なんでここにいるの?そのカタナでわたしをきるの?ねえ、おなかすいた』




「……?」





不思議そうな顔をしている、ようじんぼうさんの顔をじっと見る
初めて見る顔だ。それにしても何で此処に、ようじんぼうさんはいるのだろうか





「腹が減ったのか」




『うん、ペコペコ』




「おにぎりいるか」




『いる!』





持っていたおにぎりに向かって手を伸ばす私にようじんぼうさんは驚いた
その視線は腕の傷だ





「……その傷」




『んー?おしごとでね。いただきまぁす!』





パクリと食べれば甘い米の味
久しぶりに食べた気がする





「何故、こんな女子が此処に?」




『ようじんぼうさん。わたしのことしらないの?』




「……?いや、知らないが……」




『ふーん。“せいふ”っていってるから、しってるとおもった』




「俺は政府の人間と云ってもあまり詳しい事は知らない」




『“氷柱の女神”』





ようじんぼうさんの顔色が変わった

大抵この言葉を云えば、或る人は一目散に逃げだし、また或る人は頭を垂れ命乞いをする
……が、攻撃してくる者も少なくない





「……聞いたことがある。“氷柱の女神”が現れると辺り一面が凍りつき、逆らった者は氷漬けにされると」




『……そーみたいだね』




「とても恐ろしい存在と聞いていたが……そうでもないな」




『ようじんぼうさん。わたしにけんかうってるの?いいよ!かうよ!いくら?』




「言葉の遣い方が間違っていると思うが」





ブツブツ云っているけどどうでもいい
仕事の話し以外の会話だから物凄く楽しい





『ようじんぼうさん、またきてくれる?』




「俺はそこまで暇では」



『……こないの?』




「……時間を調整してみよう」




『やくそくね!』





────初めての約束した日


.

第二話【名前を与えられた日】→←プロローグ



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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時

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