漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです1【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ40)

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第三十九話『危機感ヲ持テ』ページ40

『却説､これから如何するか』

探偵社を出て直ぐに路地裏に入った
昼間にこの真っ黒い格好は本当に勘弁して欲しい｡無駄に目立つ

『しかしこれが“芥川龍之介”……よくこの格好でいられるな』

ブツブツ呟きながら足を進める
これから本部へ行き首領へ報告する｡一体何を云われるのやら……

『次の僕の出番はホーソーンとミッチェルの場面だ｡まあ､怪我をしてない分､思いっきり戦闘できるが､心は痛むものだな｡しかし､原作通りに行きたいから容赦なく攻撃しないと……』

｢ブツブツ云って怖いぞ｣

『どあっ！』

突然真横から声が聞こえ思わず肩を揺らし驚く
声の主は溜息をつきながら持っている杖で芥川の足をべしべし叩く

『痛っ､地味に痛いです｡夏目さん』

夏｢お前は自分の世界に入ると周りの声が聞こえなくなるのが欠点だ｡それとあと一つ忠告じゃ｣

『……忠告』

夏｢異国の異能者がお前さんの存在に気付きつつある｣

その言葉に芥川は面倒臭そうな顔をする｡夏目はまたもや溜息をつき｢危機感を持て｣と彼女の頭を小突く

『……困りますよ｡異国の異能者というと面倒臭い人ばかりじゃないですか』

夏｢しょうがないじゃろう｡今まで気づかれなかったのが不思議なくらいだ｣

『表沙汰にしていませんでしたからね｡もしや夏目さん､私の情報を流しました？』

夏｢儂になんの利益がある？｣

利益などないな､そう思いながら芥川はゴホッと咳き込む
そして更に奥へと進む

『もし仮に……』

ヒールを鳴らし立ち止まる｡夏目は目を伏せ言葉を待つ

『私が､彼を……導くことが､出来なければ』

躊躇いながら口を開く芥川｡その唇は震えていた

『私の存在意義を疑いたくなりますね』

夏｢弱気になるな｡その気持ちに負けるとお前はお前でいられなくなるぞ｣

『……』

芥川は無言で闇の中に消えていった

***

外套から携帯から取り出し電話を掛ける

『……樋口か』

‹ 樋｢……っ芥川先輩！よかったぁ……ご無事ですか？｣ ›

『ああ､すまん｡心配掛けたな……迎えを頼む』

‹ 樋｢勿論です！今どちらに？｣ ›

『あのパン屋のすぐ側の路地裏だ』

‹ 樋｢了解です！｣ ›

元気の善い声を聞き､通話を切る
あの様子だと芥川の姿を見ただけで号泣するだろう

数分後､樋口が来て､案の定泣きながら運転していた
申し訳ないなと思いながら本部へ向かった

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