好きよ好きよも、好きのうち。【3年A組】 (ページ10)

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9回目の好きページ10

「雨…」

部活を終え帰ろうと昇降口を出ると土砂降りの雨

嘘でしょ。ありえない

こういう時に限って天気予報見るの忘れてしまう

スマホで雨雲の位置を教えてくれるアプリを開くと今日は夜まで止みそうにない

止む以前にもっと強くなる予報になっている

これは行くしかないよね

意を決して雨の中走る

数歩進んだだけなのにシャツに雨の跡が沢山ついていく

正門を越えて校外に差しかかる

「…おい」

腕を後ろに引かれると急に雨が止んだ

止んだというより雨が当たらくなったが正解

急に腕を掴まれて体が後ろに傾いたのを驚いて掴んでいる相手を確認すると驚いた

「あ、な…なんで…」

名前は確か

「甲斐先輩…」

つい最近知り合ったっていっても顔見知り？ともほぼ遠い関係だけど

先輩の同じクラスの甲斐先輩だった

意外すぎる人物に戸惑いを隠せない

何も言えずじっと顔を見ていたら痺れを切らしたのか甲斐先輩が口を開く

「たまたまそこで見かけて傘無さそうだしどうするのかと見てたら飛び出していくし

傘やるから持ってけよ」

「そんな！甲斐先輩が濡れちゃいますし！！
私既に濡れてるしこのまま、「いいから」

そう言って私に無理やり傘を渡して去ろうとしてしまうのをギリギリで呼び止めて走って近寄る
走って逃げられないようにシャツの端を掴んで

「それじゃあ一緒に入って行きましょう
助けてくれた甲斐先輩が風邪をひいたら困っちゃうので、本当お願いします」

必死にお願いすると渋々了解してくれた

代わりにこれ着て隣歩けと目を逸らしながら言われたのでなんで？と思って下を見たら濡れたシャツが見事に下着を透かしていた

お言葉に甘えてジャケットもお借りする

話をしながら帰ってみると
見た目と反してすごく良い人で優しい人なんだなと思った

口調とか態度も荒々しいけど
気付いて助けてくれたのも2回目だし

それになんかかわいいっていう

そんな事言ったらキレられそうなので言いませんが

結局家まで送ってもらった

「何だかんだ、家まで送ってもらうみたいになってしまってすみません。
ここまでありがとうございました

ジャケットはまた綺麗にしてご返却するので！
そこは譲らないので何も言わないでください」

「…じゃあ、、頼む。」

来た道を戻る甲斐先輩にもう一度お礼を言って家の中に入る

「き、きんちょうしたぁ」

なんでここまでしてくれたのか分かんないけどめちゃくちゃかっこよかったな

また先輩の教室に行く予定出来ちゃった

手に持っているジャケットを見てふと思った