昇る魚 (ページ41)

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－－－－－－宮田くんは今までずっと隣にいた人が遠くへ行っちゃったような気がした事ある？？？

「なぁーーーに、それ？？？？」

まるで自分の心に鍵を突きつけられているようだった。

千ちゃんが開かずの扉と以前例えた俺の心。

思い浮かぶのは誰よりも2人きりの思い出を2人だけで大事にしたいと、自分に執着し何が何でも2人きりの世界を守ろうとする玉森の姿。

そういうことか。

ニカが、いや深澤が言ってた宮田くんの話も出てきた佐久間の元気が最近ない話って。

ふっと我ながら自嘲し、どこまでこの心の開かずの扉を開いていこうかと考えあぐねる。

同時にあのいまより少し若かった頃の、思わず心がキュッと締め付けられるようなあの思いをどうにか思い出して、玉との思い出を話すのもその思い出達を守るために話すんだって必死に鼓舞して

「うーん、そぉねぇ〜〜」

言葉を丁寧に選んで箸でえぐった魚の身を喰みながら発言する。

「…俺達の場合はああいう売られ方されちゃったし、余計にそう思われたりそう言われたりした事もあると思うよ。

どんどん置いてかれるぞ！って面と向かってハッパをかけてくる人もいるし、自分自身焦りもあったと思う。

1番近くで隣にいたメンバーがどんどん売れて、日の目を見られてよかったって嬉しい反面周りの人が言うようにどんどん置いてかれてもう振り向いてもくれないかもと思った時期もあった。

そんな事に対して複雑な気持ちを抱かなかったって言ってしまうには本当のことではないとは思う」

どうか、あの時のあの思いを大事にしてほしい。

どうかそんな俺の思いに気づいてくれますように。

きちんと明確に言葉に出して伝えないくせに身勝手ながら思い、だけどねと佐久間に話を続ける。