第一章 遺書 ページ3
一度寝ても昨日のような喪失感は続いていた。
夜遅くまで任務だったし、今日"も"午後から。
あくびを噛み殺して起き上がるこの動作でさえも面倒だ。
食欲も全く湧いてこない。
しかし動かない事には何も始まらないので自分を叱咤して体を無理矢理動かした。
「こんぶ!」
廊下を歩いていると見知った声に呼び止められた。
多分挨拶の意を込めてひらひらと手をこちらに振っている様だった。
流石に無視する訳にもいかないか…。
関節が錆びたブリキのおもちゃの様に片手を上げてぎこちなく振り返す。
するとこちらに駆け寄ってきた。
「高菜?」
『…うん、大丈夫だよ。元気。』
彼は私の遠い親戚らしい。
だからなのかよく気に掛けてくれる。
「すじこ?」
『うん、心配してくれてありがとう。』
「しゃけ!」
「棘〜!憂太と真希先行ってるぞ〜!!」
棘の背後から声が聞こえる。
声的にパンダかな。
『いってらっしゃい、頑張れ。』
「…!!明太子!」
大きく頷くとパンダの元に走っていった。
私は基本的に同級生達と一緒に任務はおろか、授業を受ける事さえあまりない。
理由は私が生まれ持った縛り、天与呪縛のせいだ。
私の体はどうやら直射日光に弱いらしい。
浴びた場所は瞬時に爛れ、激痛が走る。
服などで影を作り、ガードすれば良いのだが、万が一破れでもすれば大惨事。
結果、午後から室内で座学、日が落ちてから実践。
同級生との合同任務は多くて2回だろう。
…ただ、月明かりや人工的な明かりは呪力の膜の様な物で体を覆い、ガードを作れば耐えられる。
ガード、と言っても纏うより内側から跳ね返す感じなので呪力はその間垂れ流し。中々疲れるがもう馴れた。
そんな中途半端な縛りで手に入れたのは人より優れた動体視力。
さして必要ない。日の下を歩けるのならこんなもの喜んで捨てる。
窓の外に目を向けると手合わせをしている真希と乙骨。
女子同士、天与呪縛の件もあって真希とは一方的に親近感を覚えてる。
…乙骨に関しては未だに関わり方が分からなくて困っている。
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ばにらちゃん🍨 - 乙骨がサイコパスに見えてきた・・・(´ཀ` )グフッ 言葉責めしt((( (1月8日 11時) (レス) @page12 id: f03e70c477 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきよ - 続き見たい (2022年3月15日 2時) (レス) @page12 id: 0f5c343916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:餅つき野菜 | 作成日時:2022年1月19日 21時