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渡辺「涼太」
そんなどんちゃん騒ぎの中で、渡辺が宮舘に話しかけた。
視界に違和感を感じて先を辿ると、彼の小指からいつぞやの時と同じように血がタラリと垂れている。
宮舘「今やるの?」
渡辺「どうせ誰も見ちゃいないよ」
本当困った「兄」だな、そう呟くと一発蹴りを入れられた。
宮舘は果物ナイフを取り出すと、慣れた手つきで小指に傷を着ける。
それを差し出すと渡辺はきゅ、と自分の小指を絡めた。
渡辺「ゆーびきーりげーんまん」
宮舘「無駄に良い声で歌うなよ」
渡辺「うーそついたら殺して後追ーいに行くっ」
2人でこうやって、何かがある度に約束を確認するように、少しづつ互いの血液を共有していくように契りを交わす。
それこそ、いつか本当に双子になれると「信じている」ように。
渡辺「ゆーびきった」
宮舘「はいゆびきった。ほら、絆創膏巻くから」
当たり前のようにやっているが、本来違う血液型の血液を混入させる――それこそ、輸血で誤った血を入れる等といった事例は地獄のような苦しみを味わいながら死んでいくと言われている。
本人たちも、それを知らない訳ではない。
けれど、2人は寧ろそれでも本望だと言うのだろう。
地獄のような苦しみなんぞ、あの時に散々味わったとでも、きっと言うのだろう。
佐久間「あれ!双子で同じところ怪我したのー!?」
向井「えぇ何その凄いシンクロ!」
カウンター越しにキャッキャとうるさい筆頭がはしゃいでいる。
宮舘「仕方ない、双子だからね」
渡辺「見世物じゃねえんだぞ帰れ帰れ」
佐久間「あ!めめお前!主様に手ぇだすな!!」
いつも通りの佐久間と目黒の乱闘が始まった一方で、傭兵の男が新人くんに決闘を仕掛けようとしているのが見えた。
渡辺「おい!!暴れるなら外でやれ!!うちは闘技場じゃねえ!!」
シッシッと渡辺が追い払うのを見ながら、宮舘はクスリと笑う。
向井「…ほんま、おっそろしい双子やなぁ?」
宮舘「世界で1番最高な双子でしょ?」
おどけたように肩を竦め、向井は再びテーブルの方へと戻って行く。
どうやらラウールと薬屋の腕相撲大会が開かれているらしい、あ、薬屋が爆速で負けた。
今日もどうやら「いつも通り」みたいだ。
いつも通りの、最高に頭のイカれたクレイジーな「日常」。
宮舘「…」
されど今日は、また新しく出来た2人の「記念日」だ。
その小指に巻かれた絆創膏を見ながら、まるでそれを愛でるようにそっと撫でて、小さく口付けを零した。
終
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ch(プロフ) - 湊都様 はじめまして。唐突なコメント失礼致します。本日のmmabラジオを聞いて湊都様の主様と番犬(敬愛心)がまさにそれだと思いこの作品書いてくださったお礼をなんとしてお伝えしなければと馳せ参じました。主様と番犬共大好きです。これからも創作頑張ってください。 (2020年8月27日 23時) (レス) id: b9b0fe572d (このIDを非表示/違反報告)
皇玲太(プロフ) - 毎度思いますけど、ホント最高です (2020年8月22日 18時) (レス) id: 293e872a7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづ - お疲れ様でした!今回も楽しませていただきました!このシリーズたちの文庫版が欲しい…。次回も楽しみにしています! (2020年8月22日 0時) (レス) id: deb2d46d42 (このIDを非表示/違反報告)
湊都(プロフ) - ルカさん» ご指摘ありがとうございます!直させて頂きます! (2020年8月12日 10時) (レス) id: a535406d45 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 【笑みを絶やし続ける】だと【笑っていない状態が続く】ことを意味するのだと思うのですが、、、間違っていたらすみません。 (2020年8月12日 9時) (レス) id: d9cf94c870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湊都 | 作成日時:2020年8月4日 9時